戸上隼輔の戦績とプレースタイル!攻撃力を支える強さの秘密とは

戸上隼輔選手は、全日本連覇に加え、2026年WTTリュブリャナで単複2冠を達成した攻撃型選手です。

2026年6月21日の男子シングルス決勝では、直近4連敗中だったウーゴ・カルデラーノ選手を4-3で破りました。前陣の高速両ハンドだけでなく、サービスや台上技術で攻撃の形をつくることが強さのポイントです。

戸上隼輔の主な戦績は?国内と世界大会の実績

戸上隼輔選手は、2001年8月24日生まれ、三重県出身です。バタフライの契約選手情報では、所属は井村屋グループ、戦型は右シェーク攻撃型と紹介されています。

野田学園高校時代から全国の頂点を争い、全日本選手権、世界卓球、オリンピック、WTTシリーズへと舞台を広げてきました。

主な実績を「国内大会」「世界大会」「最新のWTT大会」に分けて整理すると、成長の流れがよく分かります。

国内大会ではインターハイと全日本を連覇

  • 2017年:インターハイ男子シングルス準優勝
  • 2018年:インターハイ男子シングルス優勝
  • 2019年:インターハイ男子シングルス・男子ダブルス優勝
  • 2022年:全日本選手権男子シングルス・男子ダブルス優勝
  • 2023年:全日本選手権男子シングルス優勝
  • 2024年:全日本選手権男子シングルス準優勝

戸上選手は2018年、インターハイ男子シングルスで初優勝を飾りました。翌2019年も頂点に立ち、宮川昌大選手との男子ダブルスも制しています。

前年王者は相手から細かく研究されます。その状況でシングルスを連覇したことは、一時的な勢いではなく、技術と対応力を備えていた証しといえるでしょう。

2022年の全日本選手権では、男子シングルス決勝で松平健太選手を破って初優勝。宇田幸矢選手と組んだ男子ダブルスでも優勝し、単複2冠を達成しました。

2023年の決勝では張本智和選手に勝利し、水谷隼さん以来となる男子シングルス連覇を成し遂げています。2024年も決勝まで進んだため、全日本では3大会連続の決勝進出です。

国内のトップ選手同士は、普段の対戦や練習を通して互いの特徴をよく知っています。対策されても勝ち続けた点に、戸上選手の修正力が表れていますよね。

世界大会ではダブルスと団体戦でも表彰台

  • 2021年:アジア選手権男子ダブルス・混合ダブルス優勝
  • 2021年:世界卓球ヒューストン男子ダブルス3位
  • 2022年:世界卓球成都男子団体3位
  • 2024年:パリ五輪男子シングルスベスト16、男子団体4位
  • 2025年:世界卓球ドーハ男子ダブルス優勝
  • 2026年:世界卓球ロンドン男子団体準優勝

2021年の世界卓球ヒューストン大会では、宇田幸矢選手と組んだ男子ダブルスで銅メダルを獲得しました。

2022年の成都大会は、戸上選手にとって初めて出場した世界選手権の団体戦です。日本男子の銅メダル獲得に貢献し、個人戦とは異なる緊張感の中でも力を発揮しました。

2024年のパリ五輪では男子シングルスでベスト16、男子団体で4位。メダルには届かなかったものの、五輪の個人戦と団体戦を経験しています。

大きな節目となったのが、2025年5月の世界卓球ドーハ大会です。

戸上選手は篠塚大登選手と男子ダブルスに出場。決勝で高承睿選手、林昀儒選手のチャイニーズタイペイペアを3-2で破り、日本勢として同種目64年ぶりとなる金メダルを獲得しました。

決勝は第1、第3ゲームを落としながら、第2、第4ゲームを取り返す展開です。最後は第5ゲームを11-6で制しました。

準々決勝ではエジプトペアに3-0で勝利し、準決勝は対戦相手の棄権による勝ち上がりでした。こうした経緯まで確認すると、決勝のフルゲームを自分たちのプレーで取り切った重みが見えてきます。

2026年5月の世界卓球ロンドン大会では、張本智和選手、松島輝空選手、宇田幸矢選手、篠塚大登選手とともに男子日本代表として団体銀メダルを獲得しました。

2021年の男子ダブルス銅、2022年の男子団体銅、2025年の男子ダブルス金、2026年の男子団体銀。異なるパートナーや試合形式で表彰台に立っていることが、戸上選手の対応力を物語っています。


2026年WTTリュブリャナ単複2冠はどう決まった?

戸上隼輔選手は、2026年6月16日から21日までスロベニアで開催された「WTTスターコンテンダー・リュブリャナ」で、男子シングルスと男子ダブルスを制しました。

WTTスターコンテンダーは、各国の実力者がランキングポイントを争うWTTシリーズの国際大会です。その舞台で二つの種目を勝ち抜くには、技術だけでなく、連戦に耐える体力と集中力も欠かせません。

男子シングルスの主な勝ち上がりは次の通りです。

  • 2回戦:袁励岑選手(中国)に3-0
  • 3回戦:朴康賢選手(韓国)に3-1
  • 準々決勝:ドミトリ・オフチャロフ選手(ドイツ)に3-0
  • 準決勝:ダン・チウ選手(ドイツ)に3-2
  • 決勝:ウーゴ・カルデラーノ選手(ブラジル)に4-3

オフチャロフ、ダン・チウ、カルデラーノを連破

準々決勝では、国際経験豊富なオフチャロフ選手を11-9、11-3、11-7のストレートで破りました。

準決勝のダン・チウ選手戦では、11-9、11-8で先行したあと、6-11、10-12で追いつかれます。それでも最終第5ゲームを11-9で取り、決勝へ進みました。

決勝の相手は、ブラジルのカルデラーノ選手です。WTTの大会記録では同大会の第1シード、世界ランキング3位としてエントリーしていました。

戸上選手はカルデラーノ選手に、2026年の男子ワールドカップを含む直近4試合で連敗していました。しかし、今回の決勝では次のスコアで勝利しています。

7-11、12-10、11-8、4-11、11-5、7-11、11-7

試合は戸上選手が第2、第3ゲームを連取して逆転したあと、カルデラーノ選手が第4ゲームを11-4で奪い返す激しい展開になりました。

戸上選手は第5ゲームを取ったものの、第6ゲームを落として3-3。優勝が決まる最終第7ゲームを11-7で制しました。

公式記録から確認できるのは、戸上選手が途中で大差のゲームを落としても崩れず、その次のゲームを取り返したことです。個々のラリーや作戦について本人が詳しく説明した一次発言は、今回確認した公式記録では見当たりませんでした。

そのため、「どの技術変更が勝因だった」とまでは断定できません。ただ、直近4連敗中の相手に対し、7ゲームを通して勝つ道筋を見つけたことは確かです。

勝敗が交互に動く試合では、一度うまくいかなかった戦い方に固執せず、サービス、レシーブ、コースを細かく調整する必要があります。筆者は、最終ゲームを取り切った結果に、戸上選手の試合対応力が凝縮されていると感じました。

篠塚大登との男子ダブルスも優勝

男子ダブルスでは、2025年世界卓球金メダルの篠塚大登選手と再びペアを組みました。

戸上・篠塚組の全試合結果は次の通りです。

  • 1回戦:林詩棟/袁励岑組(中国)に3-0
  • 準々決勝:マナフ・タッカー/マヌシュ・シャー組(インド)に3-1
  • 準決勝:林鐘勳/呉晙誠組(韓国)に3-0
  • 決勝:温瑞博/黄友政組(中国)に3-2

決勝のスコアは11-4、7-11、11-3、9-11、11-5でした。第5ゲームまでもつれたものの、最後は11-5と点差をつけています。

ダブルスでは、選手が交互に打球しなければなりません。打ったあとにパートナーの進路を空け、次の選手が攻めやすいコースへ返す判断が重要です。

2025年世界卓球に続き、2026年のWTT大会でも結果を残したことから、戸上・篠塚組の優勝は一度限りの勢いではないと分かります。

シングルスで世界上位選手を連破しながら、ダブルスでも中国、韓国のペアを破った。この単複2冠は、戸上選手の攻撃力と連係力を同時に示す実績になりました。


戸上隼輔のプレースタイルと強さの秘密は?

戸上隼輔選手のプレースタイルは、台に近い前陣で相手の時間を奪い、フォアとバックの高速ドライブで主導権を握る攻撃卓球です。

両ハンドの球威が目を引きますが、強打だけを切り離して見てしまうと、本当の強さを捉えにくくなります。

戸上選手は、サービス、ストップ、チキータ、カウンターを使って打ちやすい状況をつくり、最後に両ハンドで得点へ結びつけています。

高速の両ハンドで相手の逃げ道を狭める

フォアハンドとバックハンドの両方から、威力のあるドライブを打てることが最大の特徴です。

ドライブとは、ボールに前進回転をかける攻撃技術です。速いボールでも相手コートへ沈みやすくなり、スピードと安定性を両立できます。

片側だけに強い武器を持つ選手は、相手から反対側へボールを集められることがあります。戸上選手はバック側からも攻撃できるため、相手は安全な返球コースを選びにくくなります。

卓球レポートが2018年に公開した技術分析では、回り込みフォアハンドだけでなく、強いバックハンドやストレート方向へのバックハンドも取り上げられていました。

クロスだけでなくストレートにも打てれば、相手は二つの方向を警戒しなければなりません。その一瞬の迷いが、次の攻撃を生かす余白になります。

サービスと台上技術で強打の準備をする

戸上選手はサービスからの三球目攻撃にも強みがあります。

三球目攻撃とは、自分のサービスを相手がレシーブしたあと、その返球を攻める組み立てです。サービスの回転、長さ、コースによって相手の返球を限定できれば、得意な両ハンドを打ちやすくなります。

高校時代の技術分析では、縦回転系サービスがインターハイ優勝を支えた技術の一つとして紹介されました。

さらに特徴的なのが、打球するタイミングを変える2種類のストップです。

ストップとは、台上の短いボールをネット近くへ短く返す技術。戸上選手はバウンド直後を捉える早いストップと、少し待ってから触る遅いストップを使い分けます。

早いストップは相手の準備時間を奪い、遅いストップは相手が動き出すタイミングをずらします。同じように短く返しても、ボールが届く時間が違えば、相手の足とラケットの準備は狂うのです。

ここに戸上選手の攻撃の奥深さがあります。

ただ速く打つだけではなく、短いボールでは「あえて待つ」。緩急によって相手を崩しておくからこそ、その後の高速ドライブがいっそう効果的になるのでしょう。

チキータとカウンターで主導権を奪い返す

レシーブでは、短いサービスをバックハンドで攻撃するチキータを使います。

短いサービスに対して受け身にならず、自分から回転とコースを加えられるため、相手のサービスから始まった場面でも先手を狙えます。

相手に先に攻撃されたときは、ブロックやコンパクトなカウンタードライブで対応します。

過去に卓球レポートが分析した全日本選手権ジュニアのプレーでは、ロングサービスに逆を突かれたあと、バックハンドでつなぎ、続く攻撃を短いスイングのフォアハンドカウンターで返した場面が紹介されました。

さらに、高い打球点で攻撃的にブロックして相手の打球位置を下げ、再びカウンターにつなげています。

つまり戸上選手は、最初の攻撃を逃しただけで得点の道がなくなる選手ではありません。守る時間を短くし、できるだけ早く自分の攻撃へ戻す力を持っているのです。


戦績とプレースタイルから戸上隼輔の進化を考察

戸上隼輔選手の戦績とプレースタイルを重ねて見ると、「豪快に打ち抜く選手」という印象だけでは説明できない進化が見えてきます。

高校時代から、サービス、ストップ、回り込みフォア、バックハンドを組み合わせ、相手より先に攻撃する形を持っていました。

そこへ世界大会とダブルスで培った経験が加わり、現在は一度の攻撃で決まらない試合でも勝機を探せる選手になっていると考えられます。

2026年に見えたのは試合全体を組み立てる力

リュブリャナの準決勝では、ダン・チウ選手に2ゲームを先取したあと追いつかれ、最終ゲームを11-9で取りました。

決勝のカルデラーノ選手戦でも、第4ゲームを4-11で落としながら、第5ゲームを11-5で奪い返しています。最後は3-3から第7ゲームを11-7で制しました。

スコアだけで一球ごとの戦術や精神状態を決めつけることはできません。それでも、異なるタイプの世界上位選手を相手に、2試合続けて最終ゲームを取ったという観察事実は残ります。

筆者が注目したいのは、単に「粘り強くなった」という精神論ではありません。

ストレート勝ちしたオフチャロフ選手戦、追いつかれてから勝ったダン・チウ選手戦、ゲームを交互に奪い合ったカルデラーノ選手戦では、求められた勝ち方が異なります。

異なる展開の試合を同じ大会で勝ち抜いたことに、戸上選手の引き出しの増加が表れているのではないでしょうか。

シングルスとダブルスの経験が互いを支える

ダブルスでは、自分の強打だけを優先することはできません。次に打つパートナーの位置を予測し、二人が連続して攻められるボールを選ぶ必要があります。

そこで磨かれるコース判断や次球予測は、シングルスの組み立てにも生きると考えられます。

反対に、シングルスで培った両ハンドの決定力は、ダブルスで訪れる短い好機を仕留める武器になります。

2025年世界卓球で篠塚選手との男子ダブルスを制し、2026年リュブリャナでも同じペアで優勝。その大会ではシングルスのタイトルまで獲得しました。

単複の実績を別々に並べるだけでなく、両方の経験が戸上選手の判断力を育てていると見ると、戦績とプレースタイルのつながりが分かりやすくなります。

世界ランキング14位でも順位だけでは測れない

日本卓球協会が掲載した2026年9月7日発表の男子シングルス世界ランキングでは、戸上選手は2538ポイントで14位です。

ランキングは大会結果や保有ポイントの失効によって変動します。そのため、順位を紹介するときは発表日とポイントをセットで見ることが大切です。

一方で、選手の実力は順位だけでは測れません。

2026年リュブリャナでは、オフチャロフ選手、ダン・チウ選手、カルデラーノ選手を連破しました。さらに9月1日から6日に開催されたWTTコンテンダー・アルマトイでも男子シングルスを制しています。

卓球レポートによると、これで戸上選手のWTT男子シングルス優勝は、2025年アルマトイ、2026年リュブリャナ、2026年アルマトイの通算3回となりました。

リュブリャナの優勝を一大会だけの出来事として終わらせず、約2か月半後に再びWTT大会を制したことは見逃せません。接戦で得た自信を、その後の結果へつなげているように見えます。

今後の鍵は攻撃を急がない判断

戸上選手の強打を警戒する相手は、短いボールを増やしたり、回転や速度を変えたりして、気持ちよく打たせない対策を取るでしょう。

世界の頂点へ近づくほど、一球で簡単に抜ける相手は少なくなります。そのときに必要なのが、すぐに決めようとせず、より良い一球が来るまで攻撃を組み立てる判断です。

戸上選手はもともと、ストップの打球点を変えて相手の時間感覚をずらす繊細さを持っています。その技術を長いラリーや試合全体の配分にも広げられれば、持ち味の速さはさらに生きるでしょう。

私は、戸上選手が持つ「速さ」と「あえて待つ技術」は、反対のものではないと考えています。

相手を急がせ、自分は急ぎすぎない。その駆け引きが磨かれたとき、世界の大舞台でも優勝を争う機会が、さらに増えていくのではないかしら。


まとめ

戸上隼輔選手は、インターハイ男子シングルスを2018・2019年、全日本選手権男子シングルスを2022・2023年に連覇しました。

2025年世界卓球ドーハ大会では篠塚大登選手との男子ダブルスで64年ぶりの金メダルを獲得。2026年世界卓球ロンドン大会でも男子団体銀メダルを手にしています。

2026年6月のWTTスターコンテンダー・リュブリャナでは、直近4連敗中だったカルデラーノ選手を決勝で4-3と破り、篠塚選手との男子ダブルスと合わせて単複2冠を達成しました。

強さの中心は高速の両ハンドドライブですが、サービス、ストップ、チキータ、カウンターで攻撃の土台をつくる技術も重要です。豪快な一打の裏側にある繊細な時間の使い方こそ、戸上選手らしい魅力だと感じます。

※戦績とランキングは、WTT大会公式記録、日本卓球協会の大会結果・2026年9月7日発表世界ランキング、バタフライ「卓球レポート」の大会報告および技術分析を参照し、2026年9月9日時点で確認しました。


よくある質問

戸上隼輔は世界卓球で優勝している?

はい。2025年世界卓球ドーハ大会の男子ダブルスで、篠塚大登選手と組んで優勝しました。

決勝では高承睿/林昀儒組を3-2で破り、日本勢として男子ダブルス64年ぶりの金メダルを獲得しています。

戸上隼輔が全日本選手権を連覇したのはいつ?

男子シングルスで2022年と2023年に連覇しました。2022年は松平健太選手、2023年は張本智和選手を決勝で破っています。

2024年も準優勝し、3大会連続で決勝へ進みました。

戸上隼輔の2026年9月時点の世界ランキングは?

日本卓球協会が掲載した2026年9月7日発表の男子シングルス世界ランキングでは、2538ポイントで14位です。

世界ランキングは毎週変動する可能性があるため、確認するときは発表日も一緒に見る必要があります。

春野滋(エンタメ&スポーツ愛好家ライター)

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