森秋彩のクライミング実績まとめ!強さの秘密と得意種目を解説

高いリード壁を冷静に見上げて登攀の準備をする森秋彩選手 クライミング

森秋彩選手の得意種目はリードです。2023年世界選手権を制し、パリ2024は総合4位、2026年にはボルダーでもアジア女王になりました。

12歳で国内最高峰の大会を制してから10年。公式記録で確認できる主要戦績を年代順にたどり、世界で勝てる理由とロサンゼルス2028への展望を整理します。

森秋彩の主要戦績は?得意種目と実績を先に確認

森秋彩(もり・あい)選手は、2003年9月17日生まれ、茨城県出身のスポーツクライマーです。

日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)の選手情報では身長154cm。最大の得意種目は、長いルートを一度の登りで攻略するリードです。

主要な実績は次のように整理できます。

  • 2016年、12歳でリード・ジャパンカップ初優勝
  • 2026年までに同大会通算9勝
  • 2020年から2026年まで開催7大会連続優勝
  • 2023年世界選手権女子リードで日本人初優勝
  • パリ2024女子ボルダー&リードで4位
  • 2026年アジア選手権でボルダーとリードの2冠

特に押さえたいのは、リード・ジャパンカップの「通算9勝」と「7大会連続優勝」は同じ記録ではないという点です。

通算9勝は2016年、2017年、2020年から2026年までの優勝を合計したもの。連勝記録は、2020年から2026年まで開催された7大会を続けて制したことを指します。

また、森選手を現在も「リードだけの選手」と表現するのは正確ではありません。

軸足がリードにあることは明らかですが、2021年には国内のボルダリング・ジャパンカップで優勝。2026年にはワールドクライミング・アジア選手権のボルダーで、国際大会初優勝を果たしました。

つまり現在の森選手は、世界一になったリードを中心に、ボルダーでもタイトルを争える領域へ競技力を広げている選手と捉えるのが適切でしょう。

この記事では、JMSCAの選手記録、ワールドクライミングの大会結果、オリンピック公式記録など、2026年8月22日までに確認できる公表情報を基に主要戦績を整理します。


森秋彩の主要戦績一覧|12歳の国内制覇からアジア2冠まで

森秋彩選手が全国的に注目された大きなきっかけは、2016年6月11日に岩手県盛岡市で行われた第30回リード・ジャパンカップでした。

当時12歳の森選手は、年上の選手が並ぶ国内最高峰大会で初優勝。前年の2015年大会ですでに2位へ入っていたため、偶然生まれた番狂わせではなく、着実に頂点へ近づいた末の優勝だったことが分かります。

主な戦績を年代順にまとめると、次の通りです。

年 大会・種目 主な結果
2016年 第30回リード・ジャパンカップ 優勝
2017年 第31回リード・ジャパンカップ 優勝
2017年 世界ユース選手権・リード 優勝
2018年 日本選手権リード競技大会 優勝
2019年 世界選手権八王子・リード 3位
2019年 呉江ワールドカップ・ボルダー 3位
2020年 第33回リード・ジャパンカップ 優勝
2021年 リード・ジャパンカップ 優勝
2021年 ボルダリング・ジャパンカップ 優勝
2022年 リード・ジャパンカップ 優勝
2022年 コペル、エディンバラW杯・リード 2大会優勝
2022年 盛岡W杯・ボルダー&リード 優勝
2023年 世界選手権ベルン・リード 優勝
2023年 世界選手権ベルン・ボルダー&リード 3位、パリ五輪出場枠獲得
2023年 杭州アジア大会・ボルダー&リード 金メダル
2023年 呉江W杯・リード 優勝
2024年 パリオリンピック・ボルダー&リード 4位
2024年 シャモニーW杯・リード 優勝
2025年 バリW杯・リード 3位
2026年 リード・ジャパンカップ 優勝、7大会連続・通算9勝
2026年 アジア選手権眉山・ボルダー 優勝
2026年 アジア選手権眉山・リード 優勝

リード・ジャパンカップ通算9勝の内訳

森選手がリード・ジャパンカップで優勝したのは、2016年、2017年、2020年、2021年、2022年、2023年、2024年、2025年、2026年の9大会です。

2018年にはリード・ジャパンカップではなく、日本選手権リード競技大会が開催され、森選手が優勝。2019年の第32回リード・ジャパンカップは2位でした。

この大会名と順位を分けて確認しないと、「2016年から毎年連続で優勝した」と誤って受け取られる恐れがあります。

正確には、初優勝から10年後となる2026年までに通算9勝を挙げ、2020年大会以降は開催7大会連続で優勝したという記録です。

成長期をまたぎながら国内王座へ戻り、その後も守り続けた点に、森選手の本当の強さが表れています。12歳で勝った早熟さ以上に、10年間にわたる再現性を評価すべき実績だと私は考えます。

2022年盛岡W杯の複合優勝が示したもの

2022年に岩手県盛岡市で行われたワールドカップでは、ボルダーとリードを合わせた複合種目で優勝しました。

同年はコペル大会とエディンバラ大会の女子リードも制しており、得意種目での強さを世界の舞台で繰り返し示しています。

盛岡での複合優勝には、もう一つ大切な意味がありました。当時のオリンピック種目では、リードの結果だけでメダルを争うことができず、ボルダーとの合計点が必要だったためです。

森選手はリードのスペシャリストでありながら、複合形式でもワールドカップを勝てることを証明しました。この経験が、翌2023年の世界選手権複合3位とパリ五輪出場枠獲得につながったと見ることができます。

2023年世界選手権で日本人初のリード優勝

最大の国際実績は、2023年8月6日にスイス・ベルンで行われた世界選手権女子リード決勝です。

森選手は決勝ルートを最後まで登り切る「TOP」を記録して優勝。世界選手権のリードで日本人選手が頂点に立ったのは、男女を通じて初めてでした。

この大会ではボルダーが6位、リードが1位。両種目を合わせたボルダー&リードでは3位となり、パリ2024の出場枠も獲得しました。

得意なリードで世界一になったことはもちろん、複合でも表彰台へ立った点が重要です。

ボルダーで出遅れても、リードで高得点を挙げて総合順位を押し上げる。この競技展開は、後のパリ2024でも森選手の特徴として表れました。

さらに2023年には、ワールドカップ呉江大会のリードでも優勝しています。世界選手権だけに照準が偶然合ったのではなく、異なる大会でも勝ち切ったことが、年間を通じた競技力の裏付けになりました。

杭州アジア大会の金メダルはどう決まった?

2023年に中国・杭州で開催されたアジア大会では、女子ボルダー&リードで金メダルを獲得しました。

森選手は準決勝で199.73点を記録して首位。2023年10月7日に予定されていた決勝は雨の影響で中止され、大会規定に基づき準決勝の順位が最終結果として採用されました。

したがって、決勝を登って決着した金メダルではありません。一方、競技が実施された最終ラウンドで全選手中最高の得点を残したことも事実です。

天候は選手が選べません。どのラウンドでも上位へ立っておくことが、競技結果を左右する場合があります。

杭州大会は、森選手の高い安定性と、一つひとつのラウンドで得点を取り切る重要性が表れた大会だったと感じます。


森秋彩の得意種目リードはなぜ強い?公式結果と競技映像から分析

森秋彩選手の強さは、単純な握力や腕力だけでは説明できません。

公式大会結果と公開された競技映像から筆者が注目したのは、重心移動による省エネ、初見で動きを組み立てる力、自分の体格に合う別解を作る力の三つです。

ここからの技術評価には筆者の観察も含まれるため、公式順位などの客観的事実とは分けて見ていきます。

リードは一度の判断が結果を左右する

リードは、高さ12メートル以上の壁に設定された長いルートを登り、制限時間内に到達した高度を競う種目です。

選手はロープを途中の支点へ掛けながら進み、落下すると基本的にそこで競技が終了します。短い課題へ制限時間内に再挑戦できるボルダーとは、勝負の性質が異なります。

必要なのは、長く登る持久力だけではありません。

登る前にルート全体を読み、手足を置く順番を想定し、壁の上では残った体力に応じて判断を修正する必要があります。休める場所を見逃さない観察力や、失敗できない状況で動きを続ける集中力も欠かせません。

森選手は、2019年世界選手権3位、2022年のワールドカップ2勝、2023年世界選手権優勝、2024年シャモニーワールドカップ優勝と、異なる開催地で表彰台へ立ってきました。

ルートを設定する担当者も壁の形も大会ごとに変わります。それでも複数年にわたって勝っているため、特定のルートとの相性だけでは説明できない対応力があります。

154cmの体格で成立する動きを作る

身長154cmの森選手にとって、長身選手が手を伸ばして届くホールドが、同じ姿勢では届かない場合があります。

公式競技映像で確認できる範囲では、森選手は足を高い位置へ置き、腰を壁へ近づけ、体の向きを細かく変えることで次のホールドまでの距離を作っています。

これは単に体格の不利を補う工夫ではありません。

足と重心を適切に使えば、腕だけで体を引き上げる時間を減らせます。腕が張って握れなくなる「パンプ」を遅らせ、長いリードルートの終盤まで正確な動きを残しやすくなるのです。

筆者としては、森選手の登りの魅力は、ほかの選手と同じ動作を無理に再現するのではなく、自分の体で成立する答えをその場で組み直すところにあると感じます。

体格差によって長く試行錯誤してきたことが、動きの選択肢を増やし、未知のルートへの対応力につながっているのではないでしょうか。

世界上位選手との違いから見える現在地

世界の女子クライミングでは、スロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手がボルダーとリードの両方で高い総合力を示してきました。

オーストリアのジェシカ・ピルツ選手は安定したリード力と複合での強さを持ち、韓国のソ・チェヒョン選手もリードの世界的な有力選手です。

森選手が際立つのは、リードの最終盤まで高度を伸ばす粘りと、体格に合わせた繊細な足使いです。一方、パリ2024の複合結果を見る限り、当時はボルダーで世界の総合型選手に差をつけられました。

ただし、選手の優劣を一大会だけで固定することはできません。課題の構成によって求められる能力が変わり、同じ選手同士でも順位は入れ替わります。

森選手の現在地を正確に見るには、「リード世界一の経験がある」という肩書だけでなく、ボルダーでどの種類の課題を攻略できるようになったかにも注目する必要があります。


パリ2024はなぜ4位?得点から見えた強みと課題

パリ2024女子ボルダー&リード決勝で、森秋彩選手はボルダー39.0点、リード96.1点、合計135.1点で4位でした。

金メダルはヤンヤ・ガンブレット選手、銀メダルはブルック・ラバトゥ選手、銅メダルはジェシカ・ピルツ選手です。

森選手は得意のリードで96.1点を獲得し、決勝進出者の中でリード単独トップの得点を記録しました。しかし、先に行われたボルダーの39.0点が影響し、合計では表彰台へ3.5点届きませんでした。

この結果を「リードでメダルを逃した」と見るのは適切ではありません。

正確には、ボルダーで生じた差をリードで大きく縮めたものの、複合得点では逆転し切れなかった4位です。

森選手の長所と当時の課題が、一つのスコアにくっきり表れた大会でした。

また、パリではボルダーの第1課題が、スタート地点から大きな動きを必要とする設定として注目されました。森選手は得点を十分に伸ばせず、体格と課題設定の関係についても議論が起きました。

ただし、競技結果を課題設定だけで説明することはできません。全選手が同じ課題へ挑む以上、対応できる動きの幅を広げることもトップ選手に求められます。

悔しさの残る4位だったからこそ、その後にボルダーで見せた変化を理解するための重要な基準になったと私は考えます。


2026年アジア選手権2冠は何がすごい?

2026年4月8日から12日まで、中国・眉山でワールドクライミング・アジア選手権が開催されました。

ワールドクライミングが公表した公式結果によると、森選手は女子ボルダーと女子リードの両方で優勝。性質の異なる2種目を制しました。

ボルダーは全4課題を各1トライで完登

4月10日の女子ボルダー決勝で、森選手は4課題すべてを各1トライで完登し、100.0ポイントを獲得しました。

ボルダーでは制限時間内なら再挑戦できますが、試行回数は順位に関わります。各課題を最初の挑戦で登り切る「一撃」は、観察、動作の設計、実行が一度でかみ合ったことを意味します。

2位は関川愛音選手の85.0ポイント、3位は伊藤ふたば選手の69.4ポイントで、日本勢が表彰台を独占しました。

森選手にとっては、ワールドクライミング主催の国際大会における初のボルダー優勝です。

パリ2024の39.0点と眉山大会の100.0ポイントは、大会の格、出場選手、課題、採点状況が異なるため、数値をそのまま比較できません。アジア選手権優勝だけで、世界全体のボルダー最上位になったと断定することも避けるべきでしょう。

それでも、パリで順位を押し下げた種目において、国際大会決勝の4課題を一度も失敗せず完登した事実には価値があります。

「ボルダーが完全に弱点ではなくなった」とまでは言い切れませんが、初見対応力が結果として表れた明確な成長材料です。

※画像はAIによるイメージ

リードは予選から決勝まで全ルート完登

4月12日の女子リードでも、森選手は得意種目で実力を示しました。

予選の2ルートと準決勝をいずれも完登。決勝でもファイナリストで唯一TOPへ到達し、優勝を決めています。

2位は韓国のソ・チェヒョン選手で41+、3位は日本の小田菜摘選手で34+でした。

本命のリードで勝っただけなら、これまでの実績から大きな驚きはないかもしれません。

注目すべきは、ボルダー決勝で100.0ポイントを取った後、リードでも予選から決勝まで全ルートを登り切ったことです。

瞬発的な出力や素早い課題解決を求められるボルダーと、長いルートで持久力を問われるリード。その両方で精度を保った点が、2冠の本質的な価値でしょう。

この優勝に伴う愛知・名古屋アジア競技大会への出場資格についても、競技団体の選考・大会規定に沿った公式情報として確認されています。森選手は支援企業を通じ、同大会へ向けて力を尽くしたいとの意向を示しました。


森秋彩はLA28でメダルを狙える?種目変更と今後を考察

ここからは、公式記録と発表済みの競技制度を踏まえた筆者の考察です。

国際オリンピック委員会(IOC)は2025年4月、ロサンゼルス2028オリンピックのスポーツクライミングについて、男子・女子ともボルダー、リード、スピードを独立したメダル種目として実施する競技枠を承認しました。

パリ2024ではボルダーとリードの合計点で一つのメダルを争いましたが、LA28では両種目に別々の表彰台が設けられます。

この変更は、2023年世界選手権リード優勝者である森選手にとって有利に働く可能性があります。

パリではリード96.1点で決勝トップとなりながら、ボルダーとの合計で4位でした。LA28でリードが独立すれば、得意種目の結果だけでメダルを争えます。

リード・ジャパンカップ通算9勝、ワールドカップ複数回優勝、世界選手権優勝という実績から、森選手を有力候補の一人と見る根拠は十分にあります。

一方で、種目変更がそのままメダルを約束するわけではありません。

リードのルートにも、遠いホールドへ勢いよく移る動きや、ボルダーに近い複雑なコーディネーションが組み込まれる場合があります。ソ・チェヒョン選手やジェシカ・ピルツ選手をはじめとする世界上位勢、新たに台頭する若手との競争も続きます。

だからこそ、2026年のボルダー優勝はリードにも意味を持つと私は見ています。

ボルダーで培った瞬発力や初見対応力は、リードルート中の難所を突破する際にも役立ちます。別種目の強化が、最大の武器であるリードの選択肢を増やすことにつながるからです。

生活面では、筑波大学が公表した情報により、森選手は2026年3月に体育専門学群を卒業したことが確認されています。在学中は体育・スポーツ哲学を学び、教職課程にも取り組んでいました。

学業と競技力を単純に結びつけることはできません。ただ、卒業後に練習、遠征、休養をどのように組み立てるかは、LA28までの成長を考えるうえで注目したい点です。

今後は順位だけでなく、リードでどのような難所を越えたのか、ボルダーで一撃できる課題の種類が増えているのかを見ると、森選手の進化をより立体的に理解できます。

個人的には、12歳で国内王者になったこと以上に、10年後も勝ちながら苦手分野へ向き合っている姿に心を動かされます。

早くから期待された選手が、同じ強みだけに頼らず競技の幅を広げるのは簡単ではありません。森選手は「小柄でも勝てる選手」ではなく、体格を理解し、自分に合う技術を磨き続けたからこそ世界で勝てる選手なのでしょう。


まとめ

森秋彩選手の得意種目はリードです。

2016年に12歳でリード・ジャパンカップを初制覇し、2026年までに通算9勝。2020年からは開催7大会連続で国内王座を守っています。

国際舞台では、2023年世界選手権女子リードで日本人初優勝。パリ2024はボルダー39.0点、リード96.1点の合計135.1点で4位となり、リード単独では決勝トップでした。

2026年アジア選手権では、ボルダーの全4課題を各1トライで完登。リードでも予選から決勝まで全ルートを登り切り、2冠を達成しました。

LA28ではリードが独立種目となります。世界一の実績がある得意種目に加え、ボルダーで広げた動きの幅を生かせれば、森選手は再びオリンピックの表彰台を争う存在になると考えられます。


よくある質問

森秋彩選手の得意種目は何ですか?

得意種目はリードです。2023年世界選手権で日本人初優勝を果たし、リード・ジャパンカップでは2026年までに通算9回優勝しています。

森秋彩選手はパリ2024で何位でしたか?

女子ボルダー&リードで4位です。決勝はボルダー39.0点、リード96.1点、合計135.1点で、リード単独では決勝出場者中トップでした。

森秋彩選手はボルダーでも優勝していますか?

はい。国内では2021年ボルダリング・ジャパンカップで優勝しました。2026年アジア選手権では決勝4課題をすべて各1トライで完登し、ワールドクライミング主催の国際大会で初めてボルダーを制しています。

筆者:春野滋(エンタメ&スポーツ愛好家ライター)

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