楢崎智亜の体脂肪率はどれくらい?鍛え抜かれた肉体とトレーニングを解説

急傾斜の壁を全身の連動で登る男性クライマーを描いたスポーツイラスト アスリートたち

楢崎智亜選手は、体脂肪率が「1.9%と出たことがある」と本人が明かしています。ただし、現在も常に1.9%という意味ではありません。

本人は5%以下の測定は難しいとも説明しています。驚きの数字だけでなく、測定上の限界や体格、世界王者を支える全身の連動性まで含めて見ていきましょう。

楢崎智亜の体脂肪率は本当に1.9%?

結論からいうと、楢崎智亜選手本人が、公開インタビューで体脂肪率が1.9%と表示された経験を語っています。

この発言が掲載されたのは、2024年3月18日に集英社の「web Sportiva」で公開された楢崎選手のインタビューです。

記事の前編では、背中や背筋力、全身の連動性といった身体能力について取り上げられ、その中で体脂肪率の話題も登場しました。

楢崎選手が説明した内容は、次のように整理できます。

  • 体脂肪率は5%以下になると計測が難しいらしい
  • 測定した際に1.9%と出たことがある
  • 測定機器、測定日、測定前の状態は記事内で明示されていない
  • 現在も1.9%を維持していると断言したわけではない

ここで注意したいのが、同インタビューの後編に付けられた「体脂肪率は常時2~4%」という見出しです。

これは記事側の見出しとして掲載された表現であり、本文中で確認できる本人の直接的な説明である「1.9%と出たことがある」とは、情報の性質を分けて受け取る必要があります。

したがって、「楢崎智亜選手の体脂肪率は正確に1.9%である」と言い切るより、「本人によれば1.9%という測定結果が出た経験があり、掲載記事では常時2~4%とも紹介された」と説明するのが適切です。

出典:集英社「web Sportiva」、2024年3月18日公開の楢崎智亜選手インタビュー前編・後編

驚きの数字は、それだけで独り歩きしやすいものですよね。しかし、楢崎選手自身が測定の難しさにも触れている以上、その注意まで一緒に伝えることが欠かせません。


体脂肪率1.9%を固定値と断定できない理由は?

体脂肪率は、体重のように機器へ乗れば常に同じ条件で直接測れる数値ではありません。測定方法によって算出の仕組みが異なり、結果にも差が生じます。

一般的な体組成計では、体内へ微弱な電流を流し、電気抵抗から脂肪量などを推定する生体電気インピーダンス法が広く使われています。

この方式では、体内の水分状態や直前の運動、飲食、発汗などが測定値へ影響することがあります。とりわけアスリートのように一般的な体格とは異なる人や、非常に低い数値の領域では、表示された小数点以下までを絶対的な値として扱うことには慎重さが必要です。

米国国立衛生研究所の医学情報データベースで公開されている体組成評価の解説でも、生体電気インピーダンス法は水分状態などの影響を受けるとされています。

その意味で、楢崎選手の「5%以下は計測が難しいらしい」という認識は、低い数値を無条件に断定しないための重要な手がかりになります。

なお、測定方法には、生体電気インピーダンス法のほかにも、皮下脂肪厚の測定、DXA法、空気置換法などがあります。それぞれ仕組みや条件が異なるため、異なる機器で出た体脂肪率を単純に横並びにはできません

今回の1.9%については、使用機器や測定方法が記事内で示されていません。そのため、2026年8月27日時点で確認できる範囲を正確にまとめると、次のとおりです。

  • 1.9%は本人が明かした過去の測定結果
  • 現在の体脂肪率として公表された固定値ではない
  • 「常時2~4%」は掲載記事の見出しによる紹介
  • 5%以下は測定が難しいと本人も認識している
  • 測定方法、機器、時期、測定前の条件は不明

出典:米国国立医学図書館「StatPearls・Body Composition Assessment」、生体電気インピーダンス法に関する解説

私は、1.9%という数字を否定する必要はないと考えています。本人が実際に見た測定結果として紹介しつつ、精度や条件が不明であることも添えるのが、最も誠実な伝え方ではないでしょうか。


楢崎智亜の身長・体重と体格は?

楢崎智亜選手は、1996年6月22日生まれ、栃木県宇都宮市出身のプロクライマーです。

世界選手権の男子ボルダリングを2016年と2019年に制し、2019年世界選手権では複合種目でも優勝。東京五輪では4位、パリ五輪では男子ボルダー&リード複合10位となりました。

公開されている身長には、媒体によって1cmの違いがあります。

確認できるプロフィール 身長 体重 補足
JOC・2018年アジア大会プロフィール 170cm 60kg 2018年8月時点
CLIMBERS選手名鑑 170cm 記載なし 得意種目はボルダリング
Olympics.com選手紹介 169cm 記載なし 宇都宮市出身と紹介
FreiHeit選手紹介 169cm 60kg 国際大会歴などを掲載

身長169~170cm、体重60kgとしてBMIを計算すると、約20.8~21.0です。

ただし、BMIは体重を身長の二乗で割った指標であり、筋肉量と脂肪量の内訳までは示しません。筋肉が発達した競技者の体格を、BMIだけで評価することはできないのです。

楢崎選手は、ただ細くて軽い選手ではありません。肩、背中、腕、腹部、脚に、壁の中で大きな動きを生み出すための筋肉を備えています。

必要な筋肉を保ちながら、全身を素早く動かせる機能的な体格と見るほうが、実際の競技姿に近いでしょう。

体重に対して大きな力を発揮できることは、クライミングで確かに重要です。しかし、世界選手権を複数回制した事実まで、体脂肪率だけで説明することはできません。


楢崎智亜が語る肉体の武器「全身の連動性」とは?

楢崎智亜選手が2024年3月のweb Sportivaインタビューで自ら挙げた武器は、単純な腕力ではなく「連動性」でした。

足で壁やホールドを蹴り、その力に合わせて骨盤を動かし、最後に上半身で引く。複数の部分が適切な順番で働くため、本人の感覚では特別に力が強いわけではなくても、壁の中で大きな力を出せると説明しています。

クライミングでは、腕で体を引き上げる場面だけを見ても、本当の力の流れは分かりません。

遠いホールドへ飛びつく場合、まず足で力を生み、その力を腰や体幹へ通し、上半身と腕へ伝える必要があります。どこか一つの動きが遅れれば、高く飛べてもホールドを正確につかめないことがあるのです。

楢崎選手の動きを支える要素は、次のように整理できます。

  • 足場を強く蹴る瞬発力
  • 蹴った力を上半身へ伝える骨盤の動き
  • 空中で姿勢を調整する体幹とバランス感覚
  • 必要な瞬間にだけ働く背中と腕
  • 手足を連続して入れ替えるコーディネーション
  • ホールドを正確につかみ、体の振れを抑える技術

出典:集英社「web Sportiva」、2024年3月18日公開インタビュー前編

楢崎選手は5歳頃から器械体操に取り組み、9歳か10歳頃にクライミングを始めました。

CLIMBERSの選手名鑑では、器械体操によって跳躍力や空中でのバランス感覚を培ったと紹介されています。

跳ぶ、回る、着地点を見定める、空中で姿勢を直す。幼い頃に身につけたこうした感覚が、後に「Tomoa Style」と呼ばれるダイナミックな登りへ結びついたと考えられます。

象徴的なのが、楢崎選手の得意とするランジとコーディネーションです。

ランジとは、支えている手を離すほど勢いよく体を動かし、離れたホールドへ飛びつく技術。コーディネーションは、踏み切り、手足の入れ替え、重心移動などを途切れない一連の動作として行う技術です。

2025年5月30日公開のuFitインタビューでも、楢崎選手は瞬発的な動きや体のばねを生かす動きを長所に挙げ、ランジとコーディネーションが得意だと説明しました。

一方、ゆっくりした動きで姿勢を固め、耐えながら進むタイプの課題は、自身の課題だとも語っています。

世界王者にも得意と苦手があり、その特徴を自覚して練習へ落とし込んでいるのですね。体脂肪率よりも、この自己分析と技術の磨き方にこそ、長く世界で戦ってきた理由が表れているように感じます。

※画像はAIによるイメージ

力任せから効率重視へ変えた練習と身体ケア

楢崎智亜選手は、初めから現在のような効率的な登り方を完成させていたわけではありません。

2017年公開のDMM英会話のインタビューでは、以前は技術よりもフィジカルで登ることに魅力を感じ、身体能力を中心に磨いていたと振り返っています。

しかし、その方法だけでは成長が止まり、周囲の助言を受けて登り方を見直しました。その後は、力を消耗しすぎず、効率良く登ることを意識するようになったといいます。

楢崎選手は2016年、ボルダリング・ワールドカップの年間総合優勝と世界選手権優勝を成し遂げました。

効率を意識した技術転換と成績向上の時期は重なりますが、公開情報だけで両者に直接の因果関係があるとは断定できません。コーチング、練習環境、経験の蓄積など、競技成績には複数の要素が関わるからです。

それでも、本人の振り返りから、肉体そのものを強くするだけでなく、持っている力を賢く使う段階へ進んだことは読み取れます。

リードでは上半身を引きすぎない

楢崎選手は、長い壁を登るリード種目では、手、腕、背中で必要以上に引かないよう意識していると説明しています。

足で立ち上がり、その動きに合わせて手を使えば、上半身の消耗を抑えられます。ボルダリングで武器になる大きな重心移動も、リードでは動きを小さく調整するそうです。

これは、同じ筋肉を種目ごとに違う方法で使うということです。

短い課題で瞬発力を発揮するボルダリングと、持久力が求められるリード。その両方へ対応するには、力を出す能力だけでなく、力を使わずに済ませる技術も必要になるのですね。

出典:集英社「web Sportiva」、2024年3月18日公開インタビュー後編

指先から広背筋まで整える

2025年5月30日公開のuFitインタビューでは、楢崎選手が疲労を感じやすい部分や身体ケアについて語っています。

クライミング後に負担を感じるのは、背中、脇の下から続く部分、そして指先です。

18~19歳頃までは、登って疲れたら休むというサイクルだったものの、肩や肘の痛みを経験したことで、先輩へ相談し、トレーナーの指導も受けながらケアを意識するようになったといいます。

紹介されたケアには、次のような内容がありました。

  • 指先のストレッチ
  • 関節を揺らしながら動きを整えるケア
  • 消耗しやすい指先の保湿
  • 負担が蓄積した腱を緩める施術
  • 背中や広背筋を含むセルフケア

出典:uFit、2025年5月30日公開の楢崎智亜選手インタビュー

クライマーにとって、指先は小さなホールドと全身をつなぐ接点です。皮膚や腱の状態が悪ければ、背中や腕に十分な筋力があっても、思いどおりに力を伝えられません。

体脂肪率が「どれだけ軽い体か」を連想させる数字だとすれば、ケアは「その体をどれだけ長く使えるか」に関わる取り組みです。

私は、楢崎選手の肉体の価値は、鍛え上げた見た目だけでなく、小さな異変を察知して競技へ戻れる状態に整える力にもあると思います。


体脂肪率を低くすればクライミングに有利なの?

クライミングでは自分の体を持ち上げるため、体重に対して発揮できる力、いわゆる相対的な筋力が重要です。

しかし、体脂肪率は低ければ低いほどよいというものではありません

国際オリンピック委員会が2023年に公表した「スポーツにおける相対的エネルギー不足(REDs)」の合意声明では、運動量に対して摂取エネルギーが不足した状態が続くと、健康や競技パフォーマンスへ幅広い影響が生じ得ると説明されています。

男性アスリートも対象であり、体重や体脂肪を減らすことだけを競技力向上と結びつけるのは適切ではありません。

出典:国際オリンピック委員会「2023 IOC consensus statement on Relative Energy Deficiency in Sport(REDs)」、British Journal of Sports Medicine掲載

なお、楢崎選手が無理な減量によって1.9%になったという情報は確認されていません。食事制限の内容や減量方法も公表されていないため、推測で健康状態を評価するべきではないでしょう。

楢崎選手と同じ体脂肪率や体重を目指しても、同じ登りができるわけではありません。

幼少期の器械体操で培った空中感覚、10歳頃から積み上げたクライミング技術、初見の課題を読む判断力、失敗から動きを修正する能力は、体組成計には表示されないからです。

楢崎選手の強さは、次の要素の組み合わせとして捉えると分かりやすくなります。

機能的な体格×瞬発力×全身の連動性×登攀技術×課題を読む力×身体ケア

この中で、体脂肪率は体の状態を知る一つの情報にすぎません。1.9%という数値を、一般の人が目指すべき目標として受け取らないことも大切です。


楢崎智亜の体脂肪率と肉体をどう見るべきか考察

ここからは、公開された本人の発言と競技歴を踏まえた筆者の考察です。

楢崎智亜選手の体脂肪率1.9%という数字は、確かに目を引きます。しかし、本当に注目したいのは、脂肪の少なさではなく、その体を壁の中でどう動かしているかです。

本人が武器として挙げたのは、足、骨盤、上半身を順番につなぐ連動性でした。筋肉の大きさより、必要な筋肉を必要な瞬間に働かせる能力が、楢崎選手らしいダイナミックな登りを生んでいるのでしょう。

一般的な力比べなら、より強く引ける選手が有利に見えます。ところがクライミングでは、腕で強く引く前に足で立てれば、その分だけ腕を休ませられます。

楢崎選手の特徴は、大きなランジを決める爆発力と、リードで引きすぎない省エネの工夫を使い分けている点です。この対照的な二つの技術を持つことが、単なる「筋力型の選手」とは異なる魅力だと私は感じます。

体脂肪率は測定した瞬間の体を数字にしたものです。一方、競技では課題を読み、踏み切る位置を決め、空中で姿勢を変え、ホールドをつかんだ後の振れまで抑えなければなりません。

言い換えるなら、体脂肪率は肉体の設計図に記された一つの数字であり、楢崎選手の本当の強さは、その設計図を一手ごとに使いこなす運転技術にあります。

2016年と2019年の世界選手権優勝、東京五輪4位、パリ五輪出場という長い競技歴を見ても、強さを支えてきたのは一度の測定値ではありません。

力任せだった時期から効率を重視する登りへ変わり、年齢と経験を重ねて身体ケアも取り入れた。その継続的な変化にこそ、世界で長く戦うアスリートの専門性が表れているのではないでしょうか。

今後、新しい体脂肪率が公表された場合も、測定日や方法、本人の説明を確認する必要があります。1.9%を生涯変わらないプロフィールとして扱わず、あくまで過去に出た一つの測定結果として見るのが適切です。


まとめ

楢崎智亜選手は、2024年3月18日公開のweb Sportivaインタビューで、体脂肪率が1.9%と出たことがあると明かしました。

一方で、本人は5%以下になると測定が難しいとの認識も示しています。「常時2~4%」は同記事の見出しとして掲載された表現であり、測定方法や時期は明らかになっていません。

公開プロフィールで確認できる体格は、身長169~170cm、体重60kgです。

楢崎選手が自ら語った肉体の武器は、低い体脂肪率ではなく、足で蹴り、骨盤を動かし、上半身で引く全身の連動性でした。

さらに、力任せの登りから効率を重視する登りへ変化し、指先から広背筋までケアしています。1.9%という数字だけでなく、体を賢く動かし、長く競技へ向き合う取り組みまで見ることで、楢崎選手の本当のすごさが伝わってきます。


よくある質問

楢崎智亜の体脂肪率は本当に1.9%ですか?

楢崎選手本人が、体脂肪率について「1.9%と出たことがある」と公開インタビューで説明しています。ただし、現在の固定値ではなく、測定方法や測定時期も公表されていません。

「常時2~4%」は楢崎智亜本人の発言ですか?

「体脂肪率は常時2~4%」は、web Sportivaのインタビュー後編に付けられた記事見出しです。本文で確認できる本人の説明である「1.9%と出たことがある」とは分けて扱う必要があります。

楢崎智亜の身長と体重はどれくらいですか?

公開プロフィールによって身長は169cmまたは170cm、体重は60kgと記載されています。測定時期などの違いを考慮し、身長169~170cm、体重60kg前後と捉えるのが適切です。

楢崎智亜の肉体の一番の武器は何ですか?

本人は「連動性」を武器に挙げています。足で蹴る力を骨盤から上半身へ伝え、適切なタイミングで腕や背中を使うことで、純粋な筋力だけに頼らず大きな動きを生み出しています。

執筆:春野滋(エンタメ&スポーツ愛好家ライター。家族のスポーツ観戦をきっかけに競技のルールや戦術を調べ、国内外の大会、選手の戦績、公開インタビューを継続的に追っています)

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