戸上隼輔選手は世界卓球で金1個、銅2個を獲得し、2025年男子シングルスではベスト8へ進みました。
最大の成果は、篠塚大登選手と成し遂げた2025年ドーハ大会の男子ダブルス優勝です。日本勢として1961年北京大会以来、64年ぶりの金メダルとなりました。
戸上隼輔の世界卓球成績とメダル数は?
戸上隼輔選手が世界卓球で獲得したメダルは、男子ダブルス金1個・銅1個、男子団体銅1個の計3個です。
2021年から2025年までの代表選出大会と主な成績を、ITTF(国際卓球連盟)の大会記録、WTTの大会ドロー、日本卓球協会(JTTA)の発表を基に整理しました。
年 開催地・大会区分 種目 ペア・チーム 最終成績 敗退・決勝・欠場理由
2021年 米国・ヒューストン/個人戦 男子シングルス 個人 ベスト32 3回戦で王楚欽に0-4
2021年 米国・ヒューストン/個人戦 男子ダブルス 宇田幸矢 銅メダル 準決勝で梁靖崑/林高遠に敗退
2022年 中国・成都/団体戦 男子団体 日本代表 銅メダル 準決勝で中国に2-3
2023年 南アフリカ・ダーバン/個人戦 男子シングルス 個人 2回戦敗退 王楚欽に1-4
2023年 南アフリカ・ダーバン/個人戦 男子ダブルス 宇田幸矢 ベスト16 フランチスカ/オフチャロフに2-3
2024年 韓国・釜山/団体戦 男子団体 日本代表 試合出場なし 現地入り後のインフルエンザ感染で欠場
2025年 カタール・ドーハ/個人戦 男子シングルス 個人 ベスト8 モーレゴードに2-4
2025年 カタール・ドーハ/個人戦 男子ダブルス 篠塚大登 金メダル 決勝で林昀儒/高承睿に3-2
2025年は、男子シングルスでも日本男子で唯一のベスト8に入りました。ダブルスだけでなく、団体戦とシングルスでも世界の上位へ進んでいることが、戸上選手の成績を評価するうえで大切なポイントです。
なお、戸上選手は2021年ヒューストン大会から2025年ドーハ大会まで、個人戦と団体戦を合わせて5大会続けて日本代表に選ばれています。
ただし、2024年釜山大会は代表として現地入りしたものの試合には出場していません。そのため、「代表選出は5大会」「実戦出場は4大会」と分けるのが正確です。
2021年世界卓球は王楚欽に敗れるも宇田幸矢と銅メダル
2021年11月23日から29日まで米国・ヒューストンで開催された個人戦で、戸上隼輔選手は男子シングルスのベスト32と男子ダブルスの銅メダルを記録しました。
ITTFの男子シングルス公式ドローで確認できる全試合結果は、次のとおりです。
ラウンド 対戦相手 国・地域 結果
1回戦 トマーシュ・ポランスキー チェコ 4-1
2回戦 ロベルト・ガルドシュ オーストリア 4-1
3回戦 王楚欽 中国 0-4
1回戦は4-1(11-4、11-7、11-13、11-8、11-7)、2回戦も4-1(11-8、15-13、11-8、4-11、11-8)で突破しました。
3回戦では王楚欽選手に0-4(7-11、10-12、5-11、4-11)で敗れ、最終成績はベスト32です。第2ゲームは10-12まで競りましたが、世界トップ級のサービスと速い攻撃を前にゲームを奪えませんでした。
男子ダブルスでは、同学年の宇田幸矢選手と組んで銅メダルを獲得しました。
二人はこの世界卓球だけで結成された即席ペアではありません。ジュニア時代からダブルスを組み、2018年アジアジュニア選手権や2021年アジア選手権でも優勝していました。
左利きの宇田選手と右利きの戸上選手は、打球後に交差する動線を作りやすい組み合わせです。卓球のダブルスでは二人が交互に打つため、強打の威力だけでなく、打った直後に相手の進路を空ける動きが欠かせません。
準決勝では、中国の梁靖崑選手/林高遠選手組に敗れました。それでも、初出場の世界卓球でシングルス2勝に加え、ダブルスで表彰台へ立ったことは鮮烈なスタートだったといえるでしょう。
筆者として注目したいのは、シングルスでは王楚欽選手にストレート負けしながら、ダブルスでは世界3位まで進んだ点です。
この時点の戸上選手は、個人の攻撃力に加えて、パートナーの特徴を生かす調整力も国際舞台で通用することを示していました。後の男子ダブルス世界一を考えると、2021年の銅メダルは大切な出発点に見えますね。
2022年成都の男子団体銅と2023年・2024年の試練
2022年9月30日から10月9日まで中国・成都で行われた世界卓球団体戦で、日本男子は銅メダルを獲得しました。
日本代表には戸上隼輔選手、張本智和選手、及川瑞基選手、横谷晟選手が登録され、戸上選手はグループリーグから決勝トーナメントまで出場しています。
団体戦はシングルスを最大5試合行い、先に3勝したチームが勝つ方式です。個人戦とは違い、自分の1勝や1敗がチーム全体の結果へ直接つながります。
準々決勝のポルトガル戦では、第1試合でマルコス・フレイタス選手と対戦。3-1(8-11、11-6、11-4、11-7)で逆転勝ちし、日本に先勝をもたらしました。
日本はポルトガルを3-1で破り、準決勝進出と銅メダル以上を確定させます。世界卓球団体戦には3位決定戦がないため、準決勝で敗れた2チームがともに銅メダルとなります。
準決勝の中国戦で、戸上選手は第1試合の樊振東選手に0-3(5-11、10-12、4-11)で敗れました。
張本選手が王楚欽選手と樊振東選手に勝利し、チームスコアは2-2。最終第5試合を任された戸上選手は王楚欽選手と対戦しましたが、0-3(10-12、7-11、4-11)で敗れ、日本は2-3で惜敗しました。
中国のトップ選手からゲームを奪うことはできなかったものの、ポルトガル戦では表彰台を決める準々決勝の先陣を任され、きちんと勝利しています。
勝った試合と敗れた試合の両方を見ることで、当時の戸上選手の立ち位置が分かります。世界の強豪を倒して日本を表彰台へ導ける一方、中国の頂点を担う選手には接戦のゲームを取り切らせてもらえませんでした。
2023年5月20日から28日まで南アフリカ・ダーバンで行われた個人戦では、男子シングルス2回戦敗退、男子ダブルスはベスト16でした。
シングルス1回戦ではトマーシュ・ポランスキー選手に4-1(11-3、13-15、11-8、11-7、11-7)で勝利。2回戦は王楚欽選手に1-4(3-11、3-11、3-11、11-6、6-11)で敗れました。
2021年大会に続いて王楚欽選手に敗れましたが、今回は第4ゲームを奪っています。結果だけなら早期敗退でも、2年前には取れなかった1ゲームを取り返した点には変化が表れています。
宇田選手との男子ダブルスでは、最初の2試合をいずれも3-0で突破しました。しかし、3回戦でドイツのパトリック・フランチスカ選手/ドミトリ・オフチャロフ選手組に2-3(7-11、11-6、12-10、6-11、8-11)で逆転負けを喫しています。
ゲームカウント2-1から押し切れなかった悔しい一戦です。2021年の銅メダルペアであっても、世界の実力者が試合中に配球やテンポを変えたとき、最後まで優位を保つことの難しさが示されました。

2024年2月16日から25日まで韓国・釜山で開催されたのは、個人戦ではなく団体戦です。
戸上選手は日本代表として現地入りしましたが、日本卓球協会の発表によるとインフルエンザ感染のため欠場しました。公式記録上、2024年大会は試合出場なしとなります。
体調不良で大舞台に立てなかった経験について、本人の言葉が確認できないまま心情や技術への影響を断定することはできません。ただ、国際大会では技術だけでなく、長い遠征を戦うコンディション管理も成績を左右することが分かります。
世界卓球2025男子シングルス全成績|張本智和を破り8強
2025年5月17日から25日までカタール・ドーハで開催された世界卓球選手権ファイナルズで、戸上隼輔選手は男子シングルスのベスト8へ進みました。
ITTFとWTTの公式ドローで確認できる全5試合は、次のとおりです。
ラウンド 対戦相手 国・地域 結果
1回戦 マルコス・マドリッド メキシコ 4-0
2回戦 郭冠宏 チャイニーズタイペイ 4-0
3回戦 張本智和 日本 4-1
4回戦 ダルコ・ヨルギッチ スロベニア 4-3
準々決勝 トルルス・モーレゴード スウェーデン 2-4
1回戦はマルコス・マドリッド選手に4-0(11-2、11-2、11-5、11-2)、2回戦は郭冠宏選手に4-0(11-3、11-8、11-6、11-6)。2試合続けてストレート勝ちを収めました。
3回戦では、第4シードの張本智和選手を4-1(11-7、11-9、9-11、11-5、11-9)で破っています。
世界卓球という大舞台で、日頃から互いの特徴を知る日本代表同士が対戦する難しさは想像に難くありません。それでも、第3ゲームを落とした後に2ゲームを続けて奪い、勝ち切った点が印象的です。
4回戦の相手は、第11シードのダルコ・ヨルギッチ選手でした。
戸上選手は4-3(9-11、11-9、9-11、11-4、1-11、12-10、12-10)で勝利。第5ゲームを1-11で失い、ゲームカウント2-3まで追い込まれながら、第6、第7ゲームをともに12-10で取り切りました。
この試合は、2025年の戸上選手を象徴する一戦だったと私は感じます。
大差で失ったゲームの後でも、その結果を次のゲームへ持ち越さず、再び接戦を戦える状態に戻しました。ここで確認できるのは「技術を変えた」という推測ではなく、崩れた直後の2ゲームを連取したという結果そのものです。
準々決勝では、パリ五輪男子シングルス銀メダリストのトルルス・モーレゴード選手と対戦しました。
戸上選手は第1ゲームを16-14、第2ゲームを11-3で奪い、2-0と先行します。しかし、その後は4ゲームを続けて落とし、2-4(16-14、11-3、7-11、8-11、10-12、9-11)で敗れました。
第5ゲームは10-12、第6ゲームも9-11。序盤に2ゲームを連取する力はあっても、相手が展開を変えた後の競り合いを取り切れなかったことが、ベスト4との境目になりました。
試合映像と公式スコアを見比べると、モーレゴード選手が打球の速さやタイミングに変化をつけ、戸上選手を同じリズムで攻撃させない展開へ持ち込んだように見えます。ただし、これは本人や指導者が示した敗因ではなく、あくまで筆者による映像上の見立てです。
ヨルギッチ戦では最後の2ゲームをともに12-10で取り、モーレゴード戦では終盤の2ゲームを2点差で落としました。この対照的な結果から、世界の8強以降では「最後の2点」が実力差以上に大きな意味を持つことが伝わってきますね。
世界卓球2025男子ダブルス全成績|篠塚大登と64年ぶりの金
2025年ドーハ大会で、戸上隼輔選手と篠塚大登選手は男子ダブルスを制し、日本勢に64年ぶりの金メダルをもたらしました。
日本男子が世界卓球の同種目で優勝するのは、1961年北京大会以来です。
第2シードの戸上・篠塚ペアは、出場枠の関係で1回戦が不戦勝となり、2回戦から登場しました。
ラウンド 対戦相手 国・地域 結果
1回戦 対戦なし ― 不戦勝
2回戦 カナック・ジャー/ニキル・クマール 米国 3-2
3回戦 ミウォシュ・レジムスキ/マチェイ・クビク ポーランド 3-1
準々決勝 モハメド・エルベイアリ/ユセフ・アブデルアジズ エジプト 3-0
準決勝 エステバン・ドール/フロリアン・ブーラソー フランス 相手棄権による不戦勝
決勝 林昀儒/高承睿 チャイニーズタイペイ 3-2
準々決勝は3-0(11-10、11-3、11-5)で勝利しました。
第1ゲームが11-10で終わっているのは記載ミスではありません。2025年大会の男子ダブルスには時間に関する特別な競技方式が採用されており、ITTFの公式大会記録にも11-10と残されています。
準決勝は、フランスのドール選手/ブーラソー選手組が棄権したため不戦勝となりました。ドール選手の膝の負傷についてはフランス卓球連盟や現地報道でも伝えられており、戸上・篠塚ペアは試合を行わず決勝へ進んでいます。
決勝の相手は、チャイニーズタイペイの林昀儒選手/高承睿選手組でした。
結果は3-2(6-11、11-5、7-11、11-6、11-6)。戸上・篠塚ペアはゲームカウント0-1、1-2と二度先行されながら、第4、第5ゲームをともに11-6で奪って逆転しました。
戸上選手の力強い両ハンド攻撃と、篠塚選手の早い打点でのボールさばきがかみ合い、相手に十分な準備時間を与えない速い展開を作りました。
ダブルスでは交互に打つため、自分の得意球を打つことだけでは足りません。次に打つパートナーが動きやすいコースへ返し、自分はすぐに台の前を空ける必要があります。
戸上選手は2021年に左利きの宇田選手と銅メダルを獲得し、2025年には同じ右利きの篠塚選手と金メダルを手にしました。
利き腕やプレースタイルが異なる二人のパートナーと世界卓球の表彰台に立ったことは、戸上選手の見逃せない強みです。単に強打を放つだけでなく、ペアに応じて立ち位置や動線を調整できる選手だと考えられます。
戸上隼輔の世界卓球成績から見える進化と今後
戸上隼輔選手の世界卓球における成長は、苦しい展開になった後も勝ち筋を作り直せるようになったことに表れていると筆者は考えます。
2021年の王楚欽戦は0-4、2023年の再戦は1-4でした。2022年成都大会の中国戦でも、樊振東選手と王楚欽選手からゲームを奪えませんでした。
一方、2025年のヨルギッチ戦では第5ゲームを1-11で失いながら、残る2ゲームを12-10、12-10で連取しています。男子ダブルス決勝でも1-2から2ゲームを取り返しました。
この比較から「特定の技術を変えたため勝てた」とまでは断定できません。本人や代表監督の具体的な説明がなければ、技術と結果を直接結びつけるのは慎重であるべきでしょう。
それでも、公式スコアが示す立て直しの回数は明確です。2025年には、一度流れを失っても、そのまま試合を終わらせない粘りが結果として残りました。
戸上選手の武器は、高速スイングから繰り出すフォアとバックの両ハンドドライブです。台上のボールをバックハンドで積極的に攻めるチキータも、先手を取るうえで重要な技術となっています。
しかし世界の上位選手は、強打を受け止めるだけではありません。短いサービスやレシーブ、回転量の変化、打球タイミングのずらし方によって、戸上選手が気持ちよく振り抜ける状況そのものを減らしてきます。
モーレゴード戦で2-0から逆転された結果は、その難しさを示しています。同時に、世界トップ4まであと1勝の場所へ進み、前半2ゲームを奪った事実は、シングルスでも表彰台を狙える位置に来た証しではないでしょうか。
今後はダブルスの世界王者として、戸上・篠塚ペアが研究される立場になります。速いテンポを封じるサービスや、二人の移動を乱す配球を用意される可能性もあるでしょう。
それでも2021年の銅、2023年のベスト16、2025年の金という流れを見ると、戸上選手は敗戦を挟みながら世界一へ到達しました。順調な上り坂だけではないからこそ、その金メダルには重みを感じますよね。
個人的には、次の焦点は男子シングルスの終盤で、相手が戦い方を変えたときにどれだけ早く応じられるかだと考えています。
2025年のベスト8は到達点であると同時に、メダルとの差を具体的なスコアで確認できた大会でもありました。「最後の2点」を取り切る試合が増えれば、シングルスでも世界卓球の表彰台が見えてくるのではないかしら。
なお、本記事の大会結果とスコアは、ITTFの各大会Event Data、WTTの公式ドロー、日本卓球協会の大会情報を2026年9月10日時点で照合しています。試合展開の評価については、公式スコアと公開された試合映像を基にした筆者の見解です。
まとめ
戸上隼輔選手は世界卓球で、2021年男子ダブルス銅、2022年男子団体銅、2025年男子ダブルス金の計3個のメダルを獲得しています。
2025年ドーハ大会では篠塚大登選手と日本勢64年ぶりの男子ダブルス優勝を果たし、シングルスでも張本智和選手、ヨルギッチ選手らを破ってベスト8へ進みました。
世界一になったダブルスの対応力と、苦境から立て直したシングルスの粘り。次は男子シングルスでも表彰台へ届くのか、戸上選手の挑戦を温かく見守りたいですね。
よくある質問
戸上隼輔選手は世界卓球でメダルを何個獲得していますか?
計3個です。内訳は男子ダブルスの金メダル1個と銅メダル1個、男子団体の銅メダル1個です。
戸上隼輔選手の世界卓球2025男子シングルス成績は?
ベスト8です。3回戦で張本智和選手、4回戦でダルコ・ヨルギッチ選手を破り、準々決勝でトルルス・モーレゴード選手に2-4で敗れました。
戸上隼輔選手が2024年釜山大会を欠場した理由は?
日本代表として現地入りした後、インフルエンザへの感染が確認されたためです。団体戦の試合には出場していません。
春野滋(エンタメ&スポーツ愛好家ライター)

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