杉山慎さんは氷河の流動機構を研究し、2026年には南極で融解水による水圧上昇と短期的な10~20%の滑動加速を初めて直接確認しました。
人工衛星、GPS、熱水掘削、数値モデルを組み合わせ、南極やグリーンランド、パタゴニアの氷河がなぜ動き、融け、海へ流れるのかを調べています。
杉山慎の研究内容とは?
杉山慎さんの研究内容をひと言で表すと、氷河や氷床が動く仕組みを現地で測定し、気候変動や海面上昇の将来予測に役立てる研究です。
北海道大学低温科学研究所と北極域研究センターの教授として、南極、グリーンランド、南米パタゴニアなどで観測を続けています。
研究の中心となる「氷河」とは、陸上に積もった雪が長い年月をかけて氷へ変わり、重力によって低い方向へ流れているものです。
「氷床」はさらに規模が大きく、大陸ほどの広い土地を覆う巨大な氷の塊を指します。現在、大きな氷床が存在するのは南極とグリーンランドです。
一面の白い氷を眺めると、静かで動かない大地のように見えますよね。しかし実際の氷河は、氷自体がゆっくり変形したり、岩盤との境界で滑ったりしながら、絶えず移動しています。
杉山さんが追究しているのは、単に「氷が何メートル減ったか」という結果だけではありません。
- 氷河の流れる速さは何によって変わるのか
- 表面の融け水や雨水はどこへ流れるのか
- 氷の底にある水圧は摩擦をどう変えるのか
- 海や湖に接する氷河はなぜ急激に変化するのか
- 観測結果を将来予測へどう反映できるのか
このように、氷が失われるまでの過程を物理的に解明しようとしているのです。
氷河研究が私たちの暮らしと結びつく理由は、陸上の氷が海へ移動すると海面上昇につながるためです。
将来の海面を予測するには、表面で融ける量だけでなく、氷河が海へ向かって流れる速度も計算しなければなりません。その速度を左右する「氷の底」は、杉山さんの研究を理解するうえで大切なキーワードになります。
杉山慎はどのような経歴の研究者?
杉山さんは、氷河・氷床の力学や雪氷圏変動を専門とする雪氷学者です。
北海道大学の二つの研究組織に所属しながら、日本の研究機関だけでなく、海外の大学や現地の研究者とも協力して極地観測を進めています。
国際雪氷学会の公式役員情報では、会長任期は2024~2027年とされています。「2025年2月に就任した」と特定するより、公式に示された任期を基準に捉えるのが正確でしょう。
南極だけを研究しているわけではなく、グリーンランドやパタゴニアでも継続的に調査している点が特徴です。
地域によって気候、地形、海との接し方が違うため、複数の氷河を比べることで、どこでも働く仕組みと地域特有の現象を見分けられます。
杉山慎は氷河をどのような方法で調べる?
杉山慎さんは、人工衛星で広い範囲を捉え、GPSや熱水掘削による現地観測で原因を確かめ、数値モデルで将来の変化を考えるという方法を取っています。
主な研究方法は次の四つです。
- GPSや気象測器で氷河の移動速度と気象条件を測る
- 人工衛星の画像や高度データから広域の変化を調べる
- 熱水掘削で氷河底面まで孔を開け、水圧や底面環境を観測する
- 観測データを数値モデルへ取り込み、変動機構や将来の状態を計算する
南極氷床の面積は日本のおよそ40倍に及びます。地上からすべてを歩いて調べることはできないため、人工衛星は全体の変化を見渡す「空の目」として欠かせません。
杉山さんは講談社科学出版賞受賞記念インタビューで、衛星から照射したレーザー光の反射を使い、氷の標高変化を誤差10センチメートル以内で調べられると説明しています。
異なる時期の衛星画像を比べれば、氷河がどの方向へ、どれほどの速さで動いたかも広い範囲で推定できます。
ただし、人工衛星から見えるのは主に氷の表面です。数百メートル、場所によっては数千メートル下にある岩盤との接触状態や水圧を、衛星だけで直接見ることはできません。
そこで重要になるのが、熱水掘削です。
温めた水を強く噴射して氷に細い孔を開け、圧力計やカメラなどの機器を氷河底面まで降ろします。大きな氷を力任せに削るのではなく、熱で少しずつ融かしながら観測経路を作る方法です。
健康診断にたとえるなら、人工衛星が体全体を把握する画像検査で、熱水掘削は気になる部分を直接詳しく調べる検査に近いかもしれません。
衛星で変化している場所を探し、現場で内部の状態を測るからこそ、「どこが変わったか」だけでなく「なぜ変わったか」まで迫れるのですね。

氷河底面の水圧を測る意味
氷河の底に水が入ると、岩盤へ氷を押し付けている実質的な力が弱まり、摩擦が小さくなる場合があります。
すると、氷河が岩盤の上を滑る「底面滑動」が一時的に速くなります。重たい家具を少し持ち上げると床との摩擦が減り、動かしやすくなる様子を思い浮かべると分かりやすいでしょう。
ただし、融け水が増えれば、いつでも同じ割合で氷河が加速するわけではありません。
氷の底に効率的な排水路が発達すると、水が速やかに排出され、水圧が下がる場合もあります。水の量だけでなく、底面にどのような水路があり、それが季節とともにどう変化するかを調べる必要があるのです。
この複雑さが、現地で水圧と流動速度を同時に測る研究の価値だと考えられます。
杉山慎の主要研究と2026年の最新成果は?
杉山慎さんの主要な研究成果には、東南極ラングホブデ氷河の底面観測、グリーンランドの長期観測、パタゴニアのカービング氷河研究があります。
なかでも2026年に発表された南極研究は、氷河表面の融け水と底面滑動を直接結びつけた点で注目されました。
東南極ラングホブデ氷河で何が分かった?
杉山さんらの研究チームは、東南極で表面の融け水や雨水が氷河底面へ入り、水圧を上昇させて氷河を短期的に10~20%加速させる現象を直接確認しました。
調査地は、東南極のラングホブデ氷河です。第63次南極地域観測隊の活動として、2021年から2022年にかけて熱水掘削が行われました。
研究チームは厚さ550メートルを超える氷に孔を開け、氷河底面へ圧力計やカメラを投入しました。
観測の結果、表面融解が強まった時期と、2022年1月に珍しい降雨があった後、表面の水が割れ目を通って底面へ達したことが分かりました。
底面の水圧は一時、上にある氷の重さの97%相当にまで上昇。氷河がわずかに持ち上がることで岩盤との摩擦が弱まり、滑動速度が10~20%増加しました。
融け水が底面へ達して氷河を加速させる現象は、ヨーロッパ、アラスカ、グリーンランドなどで知られていました。
一方、南極で「表面からの水の流入」「底面水圧の上昇」「底面滑動の加速」という一連の応答を直接結びつけて確認したのは初めてです。
論文名は「Acceleration of an Antarctic outlet glacier driven by surface meltwater input to the base」で、2026年5月6日に学術誌『Nature Communications』へ掲載されました。北海道大学と名古屋大学による研究発表は同年6月2日です。
長期的な氷の流出増加も確認された?
ここは誤解しないよう、慎重に分けて考えたいところです。
今回直接確認されたのは、融解や降雨に伴う水圧上昇と、観測期間中に起きた短期的な10~20%の滑動加速です。
南極から海へ流れる氷の量が長期間にわたって増えたことや、この現象だけで将来の海面上昇量が何センチ増えるかまで実証した研究ではありません。
表面の水が増えると底面水圧が上がる一方、時間の経過とともに排水路が発達すれば、水圧が低下する可能性もあります。短期的な加速を、そのまま長期的な質量損失へ置き換えることはできないのです。
それでも、この成果は重要です。
これまで南極氷床の一部の数値モデルでは、グリーンランドなどと比べ、表面融解水が底面滑動へ及ぼす影響を小さく扱ったり、十分に組み込まなかったりする場合がありました。
ラングホブデ氷河の実測結果は、少なくとも表面融解や雨が生じる沿岸部では、表面と底面を結ぶ水の経路を無視できないことを示しています。
つまり、将来予測へ直ちに大きな加速率を足すための成果ではなく、モデルに入れるべき物理過程と、その条件を検討するための観測証拠なのですね。
氷の下で生物も確認
カメラによる観測では、厚さ474メートルの氷の下にある約3メートルの海水層で、イソギンチャクや海綿動物が確認されました。
この結果は、氷河の底が棚氷下の海とつながっていることに加え、冷たく暗い環境にも生態系が存在することを示しています。
氷河の流動を調べるために開けた観測孔から、水圧や地形だけでなく生物の姿まで見えてきたのです。極地研究は、雪氷学、海洋学、生物学が出会う総合的な研究なのだと感じます。
「南極の氷が融ける」の三つの意味
南極研究を理解するためには、「氷が融ける」という表現を次の三つに分ける必要があります。
- 表面融解:日射や高い気温によって氷河・氷床の表面に水が生じる
- 棚氷底面融解:海に浮かぶ棚氷が、下側から海水に融かされる
- 氷河流出による質量損失:陸上の氷が海へ運ばれ、氷山分離などによって失われる
ラングホブデ氷河の研究は、第一の表面融解で生じた水が氷の底へ入り、第三の氷河流出を左右する滑動へ短期的な影響を与えたことを示すものです。
「南極全体の表面が同じように融けている」「今回の加速がそのまま続く」と証明したわけではありません。
過去のインタビューで語られた、人間活動による温暖化と南極の変化を結ぶ証拠には未解明な点があるという趣旨も、当時扱っていた現象と知見の範囲を踏まえて受け取る必要があります。
南極氷床全体の質量損失や海面上昇への寄与を否定する内容ではなく、どの現象が、どの地域で、どれほど起きるのかを慎重に見極める姿勢を示したものと考えられます。
グリーンランドとパタゴニアでの研究成果は?
杉山慎さんは、南極とは条件の異なるグリーンランドやパタゴニアでも、氷河の流動と融解を観測しています。
同じ「氷河」という名前でも、表面融解の多さ、海や湖との接し方、底面地形、降雨や潮汐の影響は地域ごとに異なります。
ボードイン氷河では融解・雨・潮汐を観測
グリーンランド北西部のボードイン氷河では、2013年から2019年までの6年間にわたり、氷河の流動速度が測定されました。
観測では、気温が高く融解が活発なとき、強い雨が降ったとき、さらに潮が引いたときに氷河が加速することが確認されています。
融け水や雨水は、氷河内部の割れ目などを通って底面へ達し、摩擦に影響します。一方、潮汐は海に接する氷河を海水が支える力や末端付近の応力状態を変化させます。
成果は「Ice speed of a Greenlandic tidewater glacier modulated by tide, melt, and rain」として、2025年1月31日に『The Cryosphere』へ掲載されました。
研究には北海道大学、国立極地研究所、総合研究大学院大学、ローザンヌ大学、スイス連邦工科大学の研究者が参加しています。
南極のラングホブデ氷河と共通するのは、水が底面滑動へ影響する点です。ただし、融解水の量や排水系の発達度には地域差があります。
一般に表面融解が活発なグリーンランドでは、毎年繰り返される融解期を通して、底面の排水路が季節的に発達することがあります。
それに対して南極では、表面融解や降雨が起きる範囲や頻度が限られ、底面まで水が届いたときの排水系がグリーンランドと同じように働くとは限りません。
今回の南極観測が貴重なのは、グリーンランドで知られている仕組みをそのまま当てはめたのではなく、南極の現場で実際に確かめたところにあります。
カナックの長期観測で示された正確な数値
北海道大学などは2026年9月1日、グリーンランド北西部のカナック地域で2012年から2025年まで続けた13年間の観測成果を発表しました。
ここでは対象と単位を正確に区別する必要があります。
カナック氷河全域の累積表面質量収支はマイナス5.43±0.38メートル水当量、カナック氷帽全体ではマイナス8.01±0.22メートル水当量でした。
「メートル水当量」とは、雪や氷の増減を、すべて水に換算した場合の厚さで表す単位です。
したがって、「カナック氷帽の氷の厚さが5.4メートル減った」という意味ではありません。5.43メートル水当量はカナック氷河全域の累積表面質量収支であり、氷帽全体の値は8.01メートル水当量です。
表面質量収支とは、主に降雪による増加と、表面融解や流出による減少の差を示します。氷河の一点で実際の厚さを測った値とも、氷山分離を含む氷全体の総損失量とも異なります。
気象データとの比較からは、年ごとの変動に対して降雪量よりも表面融解の影響が強いことが示されました。
研究チームは、気温が1度上昇した場合、氷の損失速度が現在の約2倍になると予測しています。ただし、これは研究で設定された条件に基づく予測であり、将来の気温や降雪などによって実際の変化は左右されます。
論文名は「Surface mass balance and ice dynamics of Qaanaaq Ice Cap, northwestern Greenland (Kalaallit Nunaat), from 2012 to 2025」で、2026年6月18日に『Journal of Glaciology』へ掲載されました。
13年間、同じ地域を継続して測ったからこそ、特定の一年の暑さや降雪だけでは説明できない長期傾向を捉えられたのでしょう。
カナック地域では融け水が河川の増水や洪水に関わり、漁業や移動など現地の暮らしにも影響します。杉山さんたちは、氷の変化だけでなく、そこに住む人々との関係も研究しています。
パタゴニアでは水に接する氷河の急変を追跡
南米パタゴニアには、海や湖へ流れ込み、末端から氷の塊が崩れ落ちる「カービング氷河」が数多くあります。
氷河の末端が水に浮くようになったり、深い湖底や海底の上へ移動したりすると、流動速度や氷山分離が急変することがあります。
杉山さんらは、ペリート・モレノ氷河、グレイ氷河、Pio XI(ピオ・オンセ)氷河などで、末端位置、表面高度、流動速度、底面環境を調査してきました。
Pio XI氷河では熱水掘削も行われ、南極やグリーンランドで培われた氷底観測の技術が生かされています。
パタゴニア研究から見える大切な点は、温暖化の中でも、すべての氷河が同じ速さ、同じ方向へ変化するわけではないことです。
周囲の多くの氷河が後退する一方で、前進する氷河もあります。気温だけでなく、氷の厚さ、水深、底面地形、末端の浮き上がり方などが相互に関係するためです。
この地域差を例外として片付けず、なぜ異なる動きをするのかを調べることが、将来予測の改善につながります。
杉山慎の氷河研究は海面上昇予測をどう変える?
杉山慎さんの研究の意義は、人工衛星では見えない氷河底面を実測し、将来予測に必要な物理過程を確かめていることです。
氷床モデルでは、氷の変形、底面滑動、降雪、表面融解、海による融解、氷山分離などを数式で表します。
しかし、底面の水圧や排水経路は直接観測が難しく、モデルによって扱い方が異なります。ここが氷河の流出速度を予測する際の不確かさの一因です。
ラングホブデ氷河で観測された「水圧が氷の重さの97%相当に上昇し、滑動が10~20%速くなった」という数値は、底面滑動の仕組みを検討する具体的な材料になります。
ただし、この10~20%を長期予測へそのまま入れればよいわけではありません。
今回の結果をモデルへ生かすには、どれほどの融解や雨で水が底面へ届くのか、加速がどのくらい続くのか、排水路が発達すると水圧がどう変わるのかを、さらに観測する必要があります。
私見では、杉山さんの研究が更新し得るのは、「南極では表面水と底面滑動の結びつきをほとんど考えなくてよい」という単純な仮定です。
今後、沿岸部で表面融解や降雨が増える場合には、氷の表面と底面を結ぶ水の経路も検討対象にする必要がある――その出発点となる成果ではないでしょうか。
一方で、短期間の加速だけを取り上げて、海面上昇が急激に進むと断定するのも適切ではありません。
底面の排水系には、水をためて高い圧力を生む働きと、水を効率よく排出して圧力を下げる働きの両方があります。長期的な影響は、二つの働きのどちらが優勢になるかで変わります。
南極、グリーンランド、パタゴニアを一括りにできないのも同じ理由です。
グリーンランドでは融解、雨、潮汐、季節的な排水路が重要となり、南極では限られた融解・降雨と棚氷下の海、パタゴニアでは湖や海の水深、末端地形が大きく関係します。
私は、危機を強く語ることだけが科学を伝える方法ではないと感じています。その一方で、未解明な点があることを理由に、観測された変化まで小さく扱うのも誠実ではありません。
分かっている事実、研究が示唆する可能性、まだ確認されていない長期的影響を分けて説明することが大切です。
杉山さんの研究には、衛星で全体像をつかみ、熱水掘削で氷の底を調べ、GPSで動きを追い、長期観測で一時的な変化と持続的な傾向を見分ける姿勢があります。
見えない場所を推測だけで終わらせず、厳しい現場へ足を運んで数字を確かめる。その積み重ねが、氷河研究と海面上昇予測の信頼性を支えているのでしょう。
まとめ
杉山慎さんの研究内容は、氷河や氷床が動き、融け、海へ流れる仕組みを、人工衛星、GPS、熱水掘削、数値モデルで解明することです。
2026年の東南極ラングホブデ氷河の研究では、表面の融け水や雨水が底面へ達し、水圧が氷の重さの97%相当に上昇して、滑動速度が短期的に10~20%増加する現象が南極で初めて直接確認されました。
ただし、確認されたのは観測期間中の短期的応答です。長期的な氷の流出増加や、海面上昇量への直接的な影響まで実証したものではありません。
グリーンランドのカナック地域では、2012~2025年の累積表面質量収支が、カナック氷河全域でマイナス5.43±0.38メートル水当量、カナック氷帽全体でマイナス8.01±0.22メートル水当量と示されました。
これは単純な「氷の厚さ」ではなく、降雪による増加と表面融解・流出による減少を水の厚さへ換算した指標です。
杉山さんの研究は、「氷が減った」という結果を示すだけではありません。氷河底面の水圧、摩擦、排水、潮汐、地形までさかのぼり、変化が起きる理由を現場の数字から説明しています。
遠い極地の出来事に見えても、陸上の氷が海へ流れる量は将来の海面に関係します。観測された事実と今後の可能性を丁寧に分けて考えるために、杉山さんの研究は大切な手掛かりを与えてくれているのです。
よくある質問
杉山慎さんは何を研究している学者ですか?
氷河と氷床の流動、融解、底面滑動、海洋との相互作用を研究する雪氷学者です。北海道大学低温科学研究所と北極域研究センターの教授を務めています。
南極の最新研究では何が分かったのですか?
東南極ラングホブデ氷河で、表面の融け水や雨水が底面へ達し、水圧を上げて氷河の滑動を短期的に10~20%速める現象が確認されました。
南極で、水の流入、水圧上昇、滑動加速の一連の関係が直接確認されたのは初めてです。ただし、長期的な流出増加まで実証した研究ではありません。
カナック氷河の「5.43メートル」とは氷の厚さですか?
単純な氷の厚さではありません。カナック氷河全域における2012~2025年の累積表面質量収支を、水に換算したマイナス5.43±0.38メートル水当量です。
カナック氷帽全体の累積表面質量収支は、マイナス8.01±0.22メートル水当量と報告されています。
氷河底面の観測はなぜ海面上昇予測に必要ですか?
底面の水圧と摩擦が、陸上の氷が海へ流れる速度を左右するためです。
現地で得た水圧や流動速度のデータを数値モデルの検証に使うことで、海への氷流出を決める物理過程を、より現実に近い形で表現できると考えられます。
杉山慎の研究内容を確認した主な一次情報
この記事では、大学・研究機関の研究発表と査読付き学術論文を中心に、対象地域、観測期間、数値、単位を照合しました。
- 北海道大学・名古屋大学「南極の融け水が氷河を加速させることを初めて確認」(2026年6月2日)
- 『Nature Communications』「Acceleration of an Antarctic outlet glacier driven by surface meltwater input to the base」(2026年5月6日、DOI:10.1038/s41467-026-72724-x)
- 北海道大学・国立極地研究所「氷河の流動加速を引き起こす、融け水、雨、潮の満ち引き」(2025年2月4日)
- 『The Cryosphere』「Ice speed of a Greenlandic tidewater glacier modulated by tide, melt, and rain」(2025年1月31日、DOI:10.5194/tc-19-525-2025)
- 北海道大学・名古屋大学・国立極地研究所「温暖化がグリーンランドの氷河に与える影響を解明」(2026年9月1日)
- 『Journal of Glaciology』「Surface mass balance and ice dynamics of Qaanaaq Ice Cap, northwestern Greenland (Kalaallit Nunaat), from 2012 to 2025」(2026年6月18日、DOI:10.1017/jog.2026.10178)
- 北海道大学低温科学研究所・北極域研究センターの研究者情報
- 国際雪氷学会の公式役員情報
執筆:春野滋(エンタメ&スポーツ愛好家ライター)


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