杉山慎さんは、2025年4月から北海道大学北極域研究センター長を務め、低温科学研究所を兼務する教授です。
北海道大学との関係は2000年の大学院進学から始まり、現在は氷河・氷床研究、大学院教育、北極域研究の組織運営を担っています。
杉山慎は北海道大学でどんな役職に就いている?
2026年9月1日時点の杉山慎さんは、北海道大学北極域研究センターの教授・センター長です。
同時に、北海道大学低温科学研究所では兼務教授として氷河・氷床研究を続け、大学院環境科学院の地球圏科学専攻では学生の教育と研究指導にも携わっています。
現在の立場を整理すると、次のようになります。
確認項目 2026年9月1日時点の内容
主な所属 北海道大学北極域研究センター
役職 教授・センター長
兼務先 北海道大学低温科学研究所
大学院教育 大学院環境科学院・地球圏科学専攻
専門分野 雪氷学、極地科学、氷河・氷床研究
センター長就任 2025年4月
北海道大学との関係開始 2000年4月の大学院進学
低温科学研究所への着任 2005年10月
ここで少し分かりにくいのが、「教授」と「センター長」と「兼務教授」という三つの表記です。
教授は教育・研究における職位で、センター長は北極域研究センターという組織を率いる役職です。兼務教授という表記は、現在の中心的な所属とは別に、低温科学研究所でも研究や教育を担っていることを示します。
したがって、杉山さんの現在の肩書をひと言で表すなら、「北海道大学北極域研究センター長で、低温科学研究所を兼務する教授」が最も分かりやすいでしょう。
検索結果には「低温科学研究所教授」「共同研究推進部教授」「北極域研究センター副センター長」「講師」といった表記も残っています。
これらは必ずしも誤情報ではなく、掲載時期や示している役割が異なります。研究者の所属を確認するときは、過去の経歴ページと現在の公式組織表を分けて読む必要があります。
杉山慎のセンター長就任はいつ?前任者や本人の抱負は?
杉山慎さんの研究者情報には、2025年4月から北海道大学北極域研究センター長と記載されています。
北極域研究センターの公式サイトでも、2025年5月22日に公開された番組出演案内の時点で「杉山慎センター長」と紹介されているため、遅くとも同年5月には就任していたことが公式情報から確認できます。
一方、2024年8月29日付の同センターの記事では、杉山さんの役職は「副センター長、兼務教員」でした。
つまり、確認できる流れは次のとおりです。
- 2024年8月時点:北極域研究センター副センター長・兼務教員
- 2025年4月:北極域研究センター長に就任
- 2025年5月時点:公式記事で「杉山慎センター長」と表記
- 2025年6月:杉山センター長名義の挨拶を公式サイトに掲載
- 2026年9月現在:教授・センター長として公式組織表に掲載
注意したいのは、一般公開されている公式ページと研究者情報から確認できるのは「2025年4月から」という月単位の情報であり、発令日を4月1日と明記した就任告知までは確認できないことです。
大学の役職人事は年度初日の4月1日付となる例が多いものの、明記された一次資料がない以上、この記事では「2025年4月就任」としています。日付を推測で補わないことも、人物情報を扱ううえでは大切ですよね。
前任者についても、北極域研究センターの公開情報から深町康教授が杉山さんの就任以前にセンター長を務めていたことは読み取れますが、杉山さんへの交代を発表した正式な人事記事は確認できませんでした。
現在、深町教授は同センターの副センター長として組織表に掲載されています。杉山さんが副センター長からセンター長へ、深町教授がセンター長から副センター長へ役割を移した形とみられますが、交代理由について大学側は公表していません。
杉山さん本人の考えは、2025年6月付の「センター長挨拶」から確認できます。
挨拶では、北極の気温上昇、海氷や氷河、永久凍土の融解、生態系や資源への影響、約400万人が暮らす北極圏の社会が抱える問題などを説明しています。
さらに、北極で起きる変化は日本を含む世界全体の問題であり、持続可能な未来に貢献するためには、異なる分野や国内外の研究機関との協力が欠かせないという方針を示しました。
特に印象に残るのは、若手研究者や大学院生の参加を重視し、北極域に関心を持つ人々との出会いや新しい共同研究を期待している点です。
派手な就任宣言というより、研究・教育・国際連携というセンターの使命を着実に前へ進めたいという抱負が表れた挨拶だと感じました。
杉山慎と北海道大学の関係はどう始まった?
杉山慎さんと北海道大学の関係は、教員として着任した2005年ではなく、2000年4月に北海道大学大学院地球環境科学研究科へ進学したことから始まりました。
2003年3月に博士課程を修了し、博士(地球環境科学)を取得しています。その後はスイス連邦工科大学で研究に携わり、2005年10月に北海道大学低温科学研究所の講師として戻りました。
主な経歴は次のとおりです。
- 2000年4月:北海道大学大学院地球環境科学研究科へ進学
- 2003年3月:博士課程修了、博士(地球環境科学)取得
- 2003年4月~2005年9月:スイス連邦工科大学で研究
- 2005年10月:北海道大学低温科学研究所講師
- 2014年2月:同研究所准教授
- 2017年4月:同研究所教授
- 2024年8月時点:北極域研究センター副センター長・兼務教員
- 2025年4月:北極域研究センター長
- 2026年9月現在:同センター教授・センター長、低温科学研究所兼務教授
この経歴から分かるのは、杉山さんが北海道大学で専門を学び、海外で研究経験を積み、その知識を母校の研究と教育へ還元してきたことです。
2005年の講師着任からセンター長就任までには約19年半、大学院進学から数えると25年ほどの積み重ねがあります。
古いページで見かける「講師」という表記は、2005年10月から2014年1月までの職位を示すものです。2014年2月から2017年3月までは准教授、2017年4月以降は教授となっています。
また、「北極域研究センター副センター長」という表記も2025年4月より前の役職です。
大学教員の記事では、肩書を単純に一つだけ拾うのではなく、いつの情報なのか、職位なのか組織上の役割なのかを確認することが欠かせません。
北極域研究センター長として何を担っている?
杉山慎さんはセンター長として、北海道大学における北極域研究の企画、学際的な共同研究、国際連携、若手研究者の育成をまとめる立場にあります。
北極域研究センターは2015年4月に設立されました。北極で起きる環境変化と社会的課題を研究する、北海道大学全体の分野横断型拠点です。
北極の問題は、氷が融ける仕組みだけでは説明できません。
大気、海洋、氷河、永久凍土、生態系、船舶の航行、資源、国際政治、法律、先住民を含む地域社会などが複雑に結びついています。
そのため、センターには自然科学の研究者だけでなく、工学や人文・社会科学の研究者も参加しています。現在の組織は、北極域研究ユニット、広域連携研究ユニット、連携融合研究ユニットなどで構成されています。
杉山さん自身は雪氷学を専門とし、氷河や氷床がどのように動き、融け、海や湖と影響し合うのかを研究してきました。
南極、グリーンランド、南米パタゴニア、スイスなどで現地観測を行い、GPS、人工衛星データ、数値計算、海洋観測、熱水による氷河掘削などを組み合わせて氷の変化を調べています。
ただし、センター長として求められるのは、自分の専門研究を深めることだけではありません。
専門の異なる研究者を結び、大学全体としてどの課題に取り組むかを考え、海外の機関や北極地域の人々との関係を育てる必要があります。
ここに、教授とセンター長の大きな違いがあります。
教授としては研究と学生指導が中心ですが、センター長になると、組織の方向性や国際的な研究ネットワーク、人材育成まで見渡す責任が加わるのです。

ArCS IIからArCS IIIへの移行で役割はどう変わった?
杉山慎さんのセンター長就任を考えるうえで重要なのが、2025年4月1日に始まった北極域研究強化プロジェクト「ArCS III」です。
ArCS IIIは2029年度末まで実施される国内最大規模の北極域研究プロジェクトで、国立極地研究所が代表機関、海洋研究開発機構と北海道大学が副代表機関を務めます。
杉山さんは北海道大学を代表するサブプロジェクトディレクターとして運営に加わっています。
前段階の「ArCS II」は2020年度から2024年度まで実施されました。ArCS IIでは、北極の環境変化、社会への影響、持続可能な発展に関する研究と、成果の社会還元が進められています。
ArCS IIIでも研究の継続と強化が図られますが、北海道大学北極域研究センターの説明では、杉山センター長を中心として次世代の北極域研究者を育成する事業を担うことが明記されています。
具体的には、若手研究者や大学院生を北極域を含む海外へ派遣し、共同研究、現地調査、研究機関の訪問、国際会議での発表などを支援します。
これは単に、学生を観測旅行へ連れて行くという取り組みではありません。
海外の研究者と議論し、自分で研究課題を組み立て、現地の環境や文化を理解しながら成果をまとめる経験を積ませる事業です。
北海道大学は、日本の大学として唯一、北極圏大学ネットワーク「University of the Arctic」に参加していることもセンターの公式説明で強調しています。
この国際的な教育基盤とArCS IIIの海外派遣制度を組み合わせられる点は、北海道大学の北極研究拠点としての大きな特色でしょう。
筆者としては、杉山さんの就任時期がArCS IIIの開始時期と重なったことには、組織運営上の意味があると考えます。
杉山さんは氷河の現地観測だけでなく、海外での研究、グリーンランドの地域社会との協働、国内外での野外教育にも取り組んできました。
つまり、研究成果を上げる力だけでなく、現場、国際協力、教育を一つにつなぐ経験があります。その経験が、ArCS IIIで北海道大学が担う人材育成とよく重なっているのです。
研究実績はセンター長の役割とどう結びつく?
杉山慎さんがセンター長を務める背景には、氷河・氷床研究における国際的な実績があります。
象徴的なのが、欧州地球科学連合から授与された2025年の「Julia and Johannes Weertman Medal」です。
北海道大学が2025年5月に公表した受賞記事によると、この賞は雪氷寒冷圏科学で卓越した貢献をした研究者に贈られ、2006年以降は毎年一人が選ばれています。
杉山さんは欧米以外の研究者として初めての受賞者となりました。授賞式と受賞講演は、2025年4月29日にオーストリア・ウィーンで開催された欧州地球科学連合の年会合で行われています。
評価されたのは、氷河の動力学と、氷河が海洋や湖と相互作用する仕組みに関する研究です。
加えて、世界各地での熱水掘削、パタゴニアや南極での観測、グリーンランドの現地コミュニティーとの協働、野外実習を含む教育、国際的な研究コミュニティーへの貢献も受賞理由に挙げられました。
この受賞理由を読むと、センター長に選ばれた背景も見えてくるように思います。
北極域研究センターを率いるには、論文を書く能力だけでなく、海外の研究者や地域社会と信頼関係を築き、若い世代へ経験を伝える力が必要です。
また、杉山さんは国際雪氷学会の会長も務めています。同学会のカウンシル情報では、会長任期は2024年から2027年です。
国際学会の運営経験と北海道大学のセンター長という二つの立場は、若手研究者が海外の研究者と接点を持つ機会を広げるうえでも強みになるでしょう。
センター長就任後も、杉山さんは研究現場から離れていません。
北海道大学低温科学研究所は2026年6月2日、南極の表面で生じた融け水が氷河の底へ流れ込み、氷河を加速させることを現地観測によって示した研究成果を発表しました。
杉山さんを筆頭著者とする論文は、学術誌『Nature Communications』で2026年5月6日にオンライン公開されています。
組織運営を担いながら、自らも新しい観測成果を発表している点は重要です。研究現場の課題を知る人が、共同研究や人材育成の方向を考えられるからです。
杉山慎のセンター長就任をどう評価する?
ここからは、公開されている一次情報を踏まえた私見です。
杉山慎さんのセンター長就任で最も注目したいのは、氷河研究の第一人者が新しい肩書を得たことではありません。
一人の研究者が積み上げてきた現地観測、国際協力、地域との対話、学生教育を、センター全体の仕組みへ広げられるかが本当のポイントだと考えます。
北極研究では、気温や氷の厚さを測るだけでは十分ではありません。
変化が漁業や航路、資源利用、地域住民の暮らし、国際関係へどのようにつながるのかを、異なる専門家が一緒に考える必要があります。
杉山さんが専門とする氷河研究は、その入口として非常に分かりやすい分野です。融けた氷が海面上昇や海洋環境へ影響するため、地球規模の変化と地域の暮らしを結びつけて考えられるからです。
一方、優れた氷河研究者であることと、分野横断型センターをうまく運営できることは同じではありません。
今後は、自然科学と人文・社会科学の共同研究がどれだけ形になるか、若手派遣が一度きりの経験で終わらず研究者の成長につながるか、北極地域との協働が継続されるかを見る必要があります。
私が成果を判断するなら、論文数や受賞数だけでなく、次の点に注目します。
- ArCS IIIを通じて若手研究者や大学院生がどのように成長したか
- 異なる研究分野を結ぶ共同研究がどれだけ生まれたか
- 海外研究機関との協力が継続的な仕組みになったか
- 北極地域の住民と研究成果を共有できたか
- 観測で得た知見を日本社会へ分かりやすく伝えられたか
杉山さんはセンター長挨拶で、若手研究者と大学院生の参加、新しい共同研究、国内外の幅広い人々との協力を重視しています。
その言葉が、2029年度末まで続くArCS IIIの中で具体的な成果へ育っていくかが、これからの見どころではないでしょうか。
まとめ
杉山慎さんは、2025年4月から北海道大学北極域研究センター長を務めています。2026年9月現在は同センターの教授・センター長で、低温科学研究所を兼務し、大学院環境科学院の教育にも携わっています。
北海道大学との関係は、2000年4月の大学院進学から始まりました。2005年10月に低温科学研究所の講師として着任し、2014年に准教授、2017年に教授、2025年4月に北極域研究センター長となっています。
センター長として担うのは、氷河研究だけではありません。ArCS IIIにおける学際研究、国際連携、若手研究者と大学院生の育成をまとめる役割があります。
なお、一般公開されている公式情報では就任時期は「2025年4月」まで確認できますが、正確な発令日を明記した就任発表は確認できません。そのため、4月1日付と推測せず、確認できた範囲を区別して記載しました。
よくある質問
杉山慎さんは北海道大学の教授ですか?
はい。2017年4月から教授を務めています。2026年9月現在は北海道大学北極域研究センターの教授・センター長で、低温科学研究所では兼務教授です。
北極域研究センター長にはいつ就任しましたか?
研究者情報では2025年4月からと確認できます。正確な発令日を明記した一般公開の就任告知は確認できないため、本記事では「2025年4月就任」としています。
杉山慎さんの前任のセンター長は誰ですか?
杉山さんの就任前には深町康教授がセンター長を務めていました。現在、深町教授は北極域研究センターの副センター長として掲載されています。
参考資料・確認情報
以下は、2026年9月1日に内容を確認した主な一次資料です。役職や組織構成は更新される可能性があるため、公開時点と確認時点を分けて整理しました。
- 北海道大学北極域研究センター「組織」:杉山慎教授のセンター長表記、現在の組織構成を確認(2026年9月1日閲覧)
- 北海道大学北極域研究センター「センター長挨拶」:2025年6月付の抱負、研究・教育・国際連携に関する方針を確認(2026年9月1日閲覧)
- 北海道大学北極域研究センター「当センターの杉山慎センター長がNHK Eテレ『サイエンスZERO』に出演します」:2025年5月22日時点のセンター長表記を確認
- 北海道大学北極域研究センター「当センターの杉山慎副センター長の記事が時事通信に掲載されました」:2024年8月29日時点の副センター長表記を確認
- 北海道大学北極域研究センター「ArCS-3」:2025年4月1日から2029年度末までの事業期間と、杉山センター長を中心とする人材育成事業を確認(本文表記はプロジェクト公式名称の「ArCS III」に統一)
- ArCS III北極域研究強化プロジェクト「プロジェクト概要」:北海道大学が副代表機関であること、杉山慎教授がサブプロジェクトディレクターであることを確認(2025年4月現在の運営体制)
- 北海道大学低温科学研究所「研究部門・組織」:杉山慎教授の兼務表記、氷河氷床・雪氷古環境分野、担当大学院を確認(2026年9月1日閲覧)
- 北海道大学大学院環境科学院「杉山慎」教員紹介:教授職、地球圏科学専攻の担当を確認(2026年9月1日閲覧)
- researchmap「杉山慎」:2005年10月の講師着任、2014年2月の准教授就任、2017年4月の教授就任、2025年4月からのセンター長歴を確認(2026年9月1日閲覧)
- 北海道大学「低温科学研究所 杉山慎教授が欧州地球科学連合 Julia and Johannes Weertman Medalを受賞」:2025年公表。受賞理由、欧米以外から初の受賞、2006年以降毎年一人、2025年4月29日の授賞式を確認
- International Glaciological Society「IGS Council」:杉山慎教授の会長職と2024~2027年の任期を確認(2026年9月1日閲覧)
- 北海道大学低温科学研究所、2026年6月2日研究発表「南極の融け水が氷河を加速させることを初めて確認」:研究内容、発表者、論文情報を確認
- 『Nature Communications』掲載論文「Acceleration of an East Antarctic outlet glacier driven by surface meltwater input to the bed」:2026年5月6日のオンライン公開を確認
執筆者:春野 滋(エンタメ&スポーツ愛好家ライター)
人物やスポーツ選手の経歴を調べる際と同じく、この記事でも現行の公式組織表、過去の職歴、大学の発表、プロジェクトの一次資料を照合しました。専門外の科学情報は推測で補わず、確認できた事実と筆者の考察を分けてお伝えしています。


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